現在メキシコは、空路で入国可能で特に制限もなく、旅人にとって唯一の安住の地かもしれない。
他のほとんどの国は入国制限あるいは全面禁止となっている。
入国できたとしても宿泊施設閉鎖や外出禁止令等で旅行どころではないし、そこからどこかへ飛ぶにしてもメキシコシティ空港ほど便宜は良くないだろう。
メキシコの滞在許可は180日、おまけに今は円高ペソ安。
しばしここに停泊する。
たまたま写ったコロナビールのトラック。
お隣のアメリカは世界一の感染国となった。
メキシコからの不法移民をブロックする国境の壁が、今やアメリカからの感染者をブロックする壁となっている。
メキシコの感染者数は、人口1億人超の国としては少ない。
日本とほぼ同数の人口で、現在感染者数475人、死者6人。
しかし、つい10日ほど前は感染者数82人、死者0人だったことを考えると、急激に増加している。
僕のように他国から空路でやって来た者が持ち込んでいるのだろう。
人口大国であるインドやパキスタンやバングラデシュも、感染者数は非常に少ない。
これらは中国の近所だが、ヒマラヤというブロックがあるためだろう(インドは中国の敵国というのもある)。
ヨーロッパが修羅場となっているのは、シェンゲンによるフリーボーダー(現在は封鎖されているだろうが)と、中国人観光客が多いことが要因と思える。
最悪の地獄絵図となるであろうアフリカがまだおとなしいのは、地中海やサハラ砂漠というブロックがあるためなのか、それとも高額で煩瑣なビザが人の往来を不自由にしてきたのが功を奏しているのか。
ユーラシアからアフリカにかけては、ビザフリーな国か閉鎖的な国か、が命運を分けているようにも見える。
もちろん日本は、島国であること、閉鎖的であることが拡大を防いでいる。
アメリカ大陸での大暴れは時間の問題なのか、それとも早期の陸路封鎖が功を奏するのか。
いろいろイメージはしてみるが、実際どうなるかは誰にもわからない。
最悪のパターンを想定しながらも、見守るしかない。
現在メキシコは、外出者の大半がノーガード、買い占めもパニックも起きておらず、交通機関も機能している。
不自由なく暮らせているのが逆に不気味。
東京では桜が咲いているそうだが、ここではハカランダが花を咲かせている。
ハカランダは、英語読みだとジャカランダ。
南米、アフリカ、オーストラリアなど主に南半球で見られる。
メキシコシティにハカランダを持ち込んだのは日本人だとか。
ギターにも使われる木材だが、それは花を咲かせない別種のハカランダらしい。
チェ・ゲバラとカストロが初めて出会った公園。
また、日本人宿ペンションアミーゴに滞在。
宿が閉鎖されてなくて本当に助かった。
2ヶ月前に来た時にいた、仕事やボクシングで来ていた人たちは皆すでに撤退しており、現在はほぼ旅行者のみ。
皆、他の中南米から逃げてきてここで足止めを食らい、帰国か続行かという二択の中で様子見している。
部屋は豊富にあるがまた同じドミトリー、日によっては僕ひとりで独占。
現在、体重70kg。
西アフリカの時よりはだいぶマシだが、鏡を見ると頬がこけ、腹はペッタンコで肉つまめない。
キューバ入りする前のメキシコでは毎晩自炊で必要な量を食べていたので、けっこう肉ついていた。
2ヶ月前にここにいたアルゼンチン人ギタリストが今もまだここにいて、「ずいぶん痩せたね」と言われた。
「うん、キューバ帰りなんでね。」
日曜日以外は朝食が付く。
なんと言っても、ここにはギターがある。
4本も。
長期滞在覚悟なので、弦を買って張り替え、埃も拭き取った。
180ペソ(841円)って高くない?
市街中心に楽器街がある。
日本でいったら御茶ノ水並み、でも店舗は多くても品は今ひとつ。
おっ、同業者。
仕事でもするか。
1日何ペソもらえるんだろ?
上空なら安全だね。