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2019年1月8日

ドーバー

朝7時、まだ暗闇の中、カレーの港まで車で送ってもらった。
「カレー」という表記が多いが、現地の人の発音は「キャレー」だ。

フェリーでドーバー海峡を越えてイギリスへ。

入国審査が超厳しいと噂のイギリス。
原因は言うまでもなく、移民問題。
イギリスで不法滞在や不法労働をする日本人なんてまずいないと思うのだが、実際に入国審査で拒否されて追い返されてしまう旅人もいるようだ。
事前に考えられるあらゆる準備をして、万全の態勢でのぞんだ。

イギリスはシェンゲン圏外であり、カレーの港に両国のイミグレーションがある。
フランス出国もイギリス入国も済ませてから乗船する。
ローシーズンである上に夜明け前ということもあってか、まったく混雑しておらず、長時間待たされることはなかった。
もちろん僕以外の越境者は全員車。

フランスのイミグレーションでは、シェンゲン入域のスタンプを確認している様子はなかった。
しかもシェンゲン出国のスタンプをもらわなかったのだが、大丈夫なのだろうか?

いよいよイギリスのイミグレーション。
質問をたくさんされ、ひとつひとつ正直に明確に答えた。
何を聞かれたか全部は思い出せないが、どれもありきたりな質問だったと思う。
最後に残高証明書(英訳)を見せたら、難なくスタンプをもらえた。
意外にも、出国チケットの提示も求められず、宿泊予約の提示も求めれられず、荷物チェックもなかった。
僕はさらに旅程表まで作成していたのに。
無事クリアできてホッとしたが、どこからどう見ても自転車旅行者の僕が入国拒否される理由なんてひとつも考えられないから、当然といえば当然だ。

6ヶ月以内の滞在であればビザ不要。

チケットは事前に予約しており、£29(4021円)。
昼夜通して頻繁に運行しているし混む時期でもないから、予約してなかったとしても問題なかったと思う。

9時40分、乗船。


コンセントもWi-Fiもあり。
34km、1時間半の航海。







上陸!


1年を通して雨天が多いというイギリスで、上陸時に太陽が見れた。
緯度は高いがメキシコからの暖流の影響で暖かく、現在の東京とほぼ同じ気温。

すれ違う人は、イギリス人も外国人旅行者も、気さくに話しかけてくれて気持ちがいい。



もちろん頭の中で流れた曲はこれ。


ロックギターが生まれてから進化発展してきた歴史で、90年代にひとつの極みに達したエリック・ジョンソン。
テキサス生まれのアメリカ人なんだけど、なぜこのタイトルにしたのかは知らない。
この映像、音を消して指の動きだけを見ていても楽しめる。









左側通行。

自転車レーンはない。
街中ではたまに気まぐれで出現するがすぐに消滅する。
アップダウンも多い。
つまりふつうの国だ。
オランダ、ベルギー、デンマークが優秀すぎただけで、基準にしてはいけない。

なんか高速っぽい道に入ってしまった。


自転車はOKともNGとも書かれていない。
車の飛ばしっぷりからして、限りなく高速に近い。
でもGoogle MapsはGOとおっしゃる。

距離はマイル。
アメリカとともにイギリスも、いつまでもインチ、フィート、ヤード、マイルを使い続ける頑固者。
Google Mapsのルート検索でもイギリスはマイル表示されるから鬱陶しい。

植生が大陸と全然違う。




カンタベリーという街で、Kipps Backpackersに宿泊。
ドミトリー1泊£8.60(1193円)。
ファシリティはパーフェクト。
足りてないものは何ひとつない。
スタッフの対応も良い。



とてもホステルのベッドには見えない。


キッチンもちゃんとしてる。


整理整頓の鬼である僕と気が合いそうだ、ここの人とは。





この値段でこのクオリティはすごい。
ドイツ、オランダの安宿のあの惨状は何だったのだろう。

もちろん全体的な物価は高く、スーパーでの買い物は悩ましい。
でも店員の接客は愛想があっていい。

まだ入国初日だが、順調な滑り出し。


Canterbury, UK

13406km



2019年1月7日

ヘント

ベルギー入国。


国境を越えると道のつくりが変わる。
最優秀のオランダを離れるのは名残り惜しかったが、ベルギーも自転車レーンは存続している。
やはりフラットな地形で自転車人口が多い。
オランダに比べて水のエリアがぐっと減り、キャンプできそうな森が増えた。
オランダは面積も人口も九州より一周り大きいが、ベルギーは面積も人口も九州より一周り小さい。

北部はオランダ語(6割)、南部はフランス語(4割)、東部はごく少数だがドイツ語。
ベルギーのオランダ語はフラマン語と呼ばれ、オランダのオランダ語とは発音がだいぶ違うらしい。
ベルギー語という言語はない。

地理的言語的にゲルマンとラテンの境界、中立的であるためか、首都ブリュッセルにはEU本部やNATO本部などが設置されている。

ベルギー、オランダ、デンマークはフラットな地形の小国で立憲君主制、そしてゲルマン、という点で共通している。
独自の言語を持たず小さな国土に複数の公用語、国際機関が設置されている、という点ではスイスと共通している。

ヘント。


「ヘント」というカタカナ表記が多いが、現地の人の発音は「ゲント」に近い気がする。

こういうカトリック的旧市街は久しぶり。
狭い路地をトラムが縫うように走り、ガタガタの石畳で自転車はダメージを食らう。
ベルギーは、カトリック圏とプロテスタント圏の境界でもあるのかな。
でも、都市部の若者で信仰心を強く持っている人は少ないようだ。

ヘントでは、タジキスタンで出会ったサイクリスト夫婦宅でお世話になった。
到着日は夫婦ともに不在だったが、隣人が鍵を開けてくれて、また無人の一軒家ですごすことになった。

やはりネコ。


好奇心旺盛でイタズラっ子。




セントラルヒーティングを導入しているのは東側諸国だけなのだろうか。
デンマーク以来、どこの家屋も、寒い。
暖炉やガスヒーターなどで、局所的に暖めるようだ。

ネコもヒーターのそばからなかなか離れない。


寒いだけなら対処の方法があるが、洗濯物が一向に乾かない時があるのが困る。
ここでは乾燥機を使わせてもらった。



もうなんか店みたいだけど、ここのお宅の作業場。


翌日、奥さんのヤンネだけ帰ってきた。
ヘントの街を案内してもらった。



言語というのは民族のアイデンティティにとって重要なファクターだ。
日本人として生きていくなら日本語を話す、フランス人として生きていくならフランス語を話す、というのが必須。
ではベルギー人とは何なのか。
固有の言語を持たず、多方向に対してオープンでニュートラルであるのがベルギー人だ、というのをヤンネと話していて感じた。

この日の夕飯、なんとポテトのみ。


おそるべしヨーロッパの食文化。
僕はポテト大サイズとコーラ、ヤンネはポテトノーマルサイズと水、以上。
そういえばアムステルダムで、行列ができている店があったので覗いてみたら、ポテトだけを売る店だった。
考えられん。



運河に沿って自転車道がつくられており、比較的シンプルで助かる。


ブルージュ。


海岸近くでキャンプ。
初めて、雨が降らない夜だった。
ベルリンで買ったテント、濡れっぱなしだったが初めて乾かすことができた。

フランス入国。


自転車レーン消滅。
たまに気まぐれで復活したり消滅したり。
車道も路面が荒れている。

フランスといえば、バゲットとフロマージュ。
これだけが楽しみ。
しかしよりによって、この日は日曜日。
ガッカリ。
ヨーロッパ人よ、働いてくれ。

と思ってたらパン屋は開いていた。


ただし営業は13時まで。
ギリギリセーフだった。

バゲット、€0.95。


前日の売れ残りかな、フレッシュではなかった。

WARMSHOWERSで民泊。
立派な一軒家。

なんというラグジュアリー。


まるで豪華ホテル、しかも部屋ごとにシャワーがある。

バスルームには専用スクイジーが。


当たり前だけど、皆フランス語を話す。
つい数日前までゲルマンの言葉だったのに、ちょっと自転車こいだだけでまったく異なる響きの言語、改めて戸惑う。
単一言語の島国で育った者にとっては、いまだに不思議な現象。




Calais, France

13377km