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2019年4月15日

モーリタニア → セネガル (Diama) 国境越え

Diamaの国境。


Google Mapsには「ディアマ」と表記されているが、地元民は「ジャマ」と言っているように聞こえる。
ヌアクショットからセネガルへはここが最短なのだが、ルート上に大きな街もないため越境者は少なく、未舗装のためか大型車も皆無、閑散としている。
2人の白人ライダーがいたが、車やバイクは関税か何かの手続きで時間がかかるようだ。
あとはモーリタニア人とセネガル人がちらほらいた程度で、並んで待つようなことはなかった。

モーリタニア側
①ミリタリーチェック
最初に左手に現れる軍の建物でパスポートチェック。
路上の検問でもそうだったのだが、やたらと「フィッシュ! フィッシュ!」と言われる。
「フィッシュ」というのはコピーとか紙という意味だろうか、パスポートのコピーを求められる。
「ない。そんなもん知らん。パスポートだけ。」と言って押し通した。
本当はパスポートコピーは何枚か持っているのだが、こんなところでムダに消費したくないし、必要なら自分でコピーしろよ。
いくつか質問をされて、メモをとられて、特に問題なし。

②ポリスチェック
さらに進んで左手に現れる警察の建物で出国審査。
建物に入るなり「シノワ!」と言われたので、「ノン! ジャポン!」と言ったら、とたんに笑顔になってえらい歓迎された。
どうやらこの建物にある金属探知機は日本からの寄贈品らしく、敬いの目で見られた。
警官たちとおしゃべりする間に、出国スタンプが押された。
セネガルからモーリタニアへ入国する場合はここでビザが発給されるようだが、警官とコンピューターさえスムーズに動いてくれれば短時間で取得できそうだ。

建物から出たら、弱々しそうな男が寄ってきて「50ウギア(153円)の税金を払え」と言った。
僕はニコニコと笑顔で、「Who are you? (あんた誰?)」
と聞いたら、よく聞き取れなかったのか、
「How are you? (元気ですか?)」
と返してきやがった。
「No! Who are you? Military or police?」
と聞いたらシケた顔をして去っていった。
だらしないなー、詐欺をやるんだったらもっと本腰入れてこい。
そんなんで払うやついないでしょ。

出国完了、セネガル川を渡る。


橋というよりは、土手。


セネガル側
右手にあるポリスコントロールの建物で入国審査。
いくつか簡単な質問をされ、スタンプが押されて入国完了。

90日以内の滞在であればビザ不要。
セネガルは西アフリカで唯一のビザフリー国。

所要トータル20分。

両国側ともに、両替屋なし。
モーリタニア側で「チェンジマニー」と囁きかける男がいたが、あまりにも怪しく見えたのでやめといた。


Saint Louis, Senegal



サハラ縦断 5

朝のヌアクショット。




この日も追い風フラット、快調。


と思いきや、途中から道路工事区間で悪路となった。


やはり好条件というのは長続きしないものだ。
舗装工事していたので、数年後にはヌアクショットより南も全舗装されているかもしれない。

この暑いのに、ヌアクショットより南は店がまったくない。
110km走ってようやく街が現れた。


サンドウィッチ大サイズ、50ウギア(153円)。
ここは良心的。



ガタガタも嫌だけど、何よりも進行を阻むのは砂。




街は少ないが、無人地帯でもない。
まばらに散らばった家屋が続く。
子供たちが僕を見るたびに何やら叫ぶ。
こういうところでキャンプはやりづらい。
宿もまったくない。

やむをえず、検問所の軍人の許可を得て、近くの廃屋にテントを張った。
許可を得てとはいっても、軍人も別にキャンプするのに許可なんかいらない、何の問題もないよ、といった感じ。
でも検問所の近くなら悪ガキが寄ってくることもないだろう、という安心感が僕は欲しかったのだ。



しかしその安心感と引き換えに、検問所で停車するトラックのエンジン音を一晩中聞かされるハメになった。
トラックとかバスのドライバーって、どうしてエンジン止めないんだろう?

翌日。



少しずつ木が増えてきて、砂漠の終わりを予感させる。



ひっでえ道。


世界中いろんなところを走ってきたけど、毎度砂漠走行になるととたんに日本の知人友人たちから「自転車で砂漠を走れるの?」という質問が続出する。
砂漠に限っては道路が存在しないものだと思いこんしまう人が多いのはどういうことだろう?
やはり今まで見てきた砂漠の映像がそういうイメージを植え付けてしまっているからだろうか。



メインロードは、南東方向にあるロッソという国境の街へ向かう。
多くの旅行者がセネガルへと越境するメジャーな国境だが、僕は南西方向にあるマイナー国境のディアマへ向かう。

ローカルロードのはずだが、メインロードよりきれいに舗装されている。






水!




ふいに現れた水と緑。
ここはセネガルとの国境をなすセネガル川。
サハラが終わった。

そして舗装道路も終わった。


未舗装はしんどいし暑いけど、木々が生い茂っているだけでも気が楽。

ディアマはまだしばらく先。
セネガル川に沿って国立公園の中を進む。



イノシシがたくさんいる。
家族で群れをなしており、僕の気配を感じると親子ともども道路へ出てきて、すごい勢いで逃げ去っていく。



中にはかなり大サイズの成体もいて、間近で見るリアル猪突猛進はすごい迫力。



逃げ遅れた子供がお母さんからはぐれてしまい、パニックになってピーピー泣きながらぐるぐる周り始めた。
やがてお母さんが迎えに来て、一緒に去っていった。
怖がらせてしまってごめんよ。
まともに戦ったら君たちの方がはるかに強いんだけどね。



計30頭ぐらいは見たかな。

この未舗装区間にも検問がある。
軍人は掘っ立て小屋でボケーとしており、僕が通過して数十m進んでから気づいて、大声で「オイッ! 止まれ!」と叫ぶ。
そんな無礼な呼び止め方しないで、ちゃんと仕事しろや。

この1枚の写真に、ラクダ、ウシ、イノシシ、水鳥。








魚も。


唯一(?)の水場が国境の川だなんて。
モーリタニアとしてはこの川をまるまる欲しいところだろう。

全土が砂漠のモーリタニアがなぜ海沿いに道路や街をつくって発展させないのかは謎だが、僕としてはやや内陸の砂世界を体験できたので良かった(文句を言いながらもあれは楽しめた)。

砂漠から一転、ワニ注意ですか。




国立公園が終わると、公園通行料200ウギア(612円)を請求された。
ちゃんとプリントされた領収書をもらえたので、不当請求ではなさそうだ。
おそらく、信頼せず払おうとしない外国人がいるのでわざわざ領収書をつくるようになったのでは、と思う。
もちろん地元民は払わない、外国人だけだと思う。

小銭を処分するために立ち寄った最後の売店で。


こんな国で自国生産している物などないだろうと思っていたが、この手のドリンクはよく見たらモーリタニア産。
330mlで20ウギア(61円)。
これは安い。
でももっと払わされた店もあった気がする。
ぼったくりだ!
だいたいいつも100ウギアとか150ウギアとか、キリが良すぎるんだよな。
その場の思いつきで値段を言っているっぽい。
店によっては冷蔵庫の中のドリンクもホコリをかぶって炭酸も抜けて、一体何年前のものだ、というのもめずらしくない。

モーリタニアウギア。





Saint Loius, Senegal

19332km



2019年4月13日

ヌアクショット

首都ヌアクショット。


はい、クラクション地獄。

交通マナーは、モロッコ・西サハラではまだヨーロッパの影響が色濃く見られたが、ここはよりアフリカンに、よりアナーキスティックに。



思えば、モロッコ・西サハラはアフリカの中でもアラブの中でもトップクラスと言っていいほどの優等生だった。
これからは旅行者もさらに寄り付かない、荒くれたカオスが期待できるでしょう。







まずはATM。
かなり大きな銀行のATMに行ってみたが、最初の2軒はまともに機能しておらず。
3軒目で無事現金をおろせた。

アホみたいな物価の高さに嫌気がさす。

スーパー、といっても売店に毛が生えた程度の規模だが、値札がない商品も多く、一見チンケな物を買ってみたらビックリするほど高かったり、果物なんかも種類によっては信じられないほど高額のものがあったりする。
いつも複数の物をまとめて買って、レシートをもらえないので、個々の商品の値段が確認できない。
モロッコでもよく見かけた物、モロッコから取り寄せたであろう物はそれほど高くないが、それ以外は手を出すのが怖い。

僕が何よりも求めているのは、食。
とにかくお腹一杯になるまで食べたい。
しかしレストランも極端に少ない。
滞在している宿の近くにレストランが数軒あるが、高いし物足りない。
モーリタニア人はラクダ肉を食べると聞いて探してみたが、それも見当たらない。

携帯屋はやたらとある。


次の国まであとわずかなので、SIMは買わない。



頻繁に「ニイハオ!」、「シノワ(中国人)!」と呼ばれる。
モロッコと違っておちょくられてる感が若干ある、気のせいかもしれないが。
ガキならともかく、いい大人が僕の前で中国語のモノマネをしたりもする。
恥ずかしくないのかな。
また、人を呼ぶ時に「スッ!」と歯の間から息を出す。
アフリカ人はよくやるのだが、これも僕は好きになれない。

でも概して、モーリタニア人は穏やかだ。
エジプト人みたいに粗暴でもないし、アフリカ人のように風景写真を撮っただけで「チップ払え!」と騒ぐこともない。
おとなしい国民性だと思う。

???




首都でも舗装されているのは大通りだけで、路地に入ると、砂。


ゴミ。


ヘドロ。


首都でも、ヤギ。


立つとけっこうデカイのね。



アラブとブラックの境、そして穏やかな国民性という意味では、スーダンに通ずるものがある。
でもモーリタニアの方がアフリカ色が強い。
ムスリムっぽくない、肌を露出したアフリカンな女性も多く見かける。
手足が長くてスラッとしたスタイルの人が多い。

スーダンといえば、昨日11日に軍によるクーデターが発生。
30年にわたったバシル大統領(75歳)の独裁政権に終止符が打たれるという歴史的大事件。
こういう国ではクーデターか革命でも起こさない限り、政権はトップが死ぬまで変わらない。

リビアでは反政府軍が首都に侵攻して空港を爆撃。
アルジェリアでは大統領退陣を求めて大規模なデモが発生。

今、北アフリカが激動している?



宿の近くには小学校があるが、小ぎれいな身なりをした子供ばかり。
学校に行けるのは富裕層だけなんだな。

街を歩いていると、生まれてから一度も風呂に入ったことのないような物乞いの子供が頻繁に寄ってくる。
5~6歳ぐらいのきったない女の子が、「シノワ!」と言ってからんできた。
物乞いのつもりで寄ってきたのだろうが、好奇心むき出しの目で見つめてくる。
ちょっとからかってやったらキャーキャー喜んで、近くにいた女の子たちも寄ってきてたちまち囲まれ、僕の手をつかんで離そうとしない。

缶を持って小銭をせがむ少年も多い。
これもちょっと遊んでやると目をキラキラさせて、たちまち大勢集まって僕の手をつかむ。
こうなると「金をくれ」を忘れて、ただただ「遊ぼう!」となる。

かれらがどれだけ厳しい人生を歩んでいくのか、僕にわかるとは言えない。
でも大人たちも、厳しい現実ばかり突きつけないで、もうちょと遊んであげてもいいんじゃないかな。
嫌なこと忘れて楽しく遊んで騒ぐ、こういう時間も子供には必要でしょう。

でもカメラを向けるとこの有様。


Auberge Menataに3泊。
ドミトリー、といっても2ベッドだが、1泊200ウギア(612円)。


宿代は安くすんで助かった。
しかも初日からずっとひとりで部屋を占有できており、実質個室。
同じような2ベッドの部屋が計4つほどある。

大型テントにもベッドが6つほどあるが、こちらはコンセントがないためかいつも無人。


客層は、長期滞在している労働者?
よくわからないが、外国人旅行者はいない。

もちろんロッカーなんてものはなく、セキュリティもガバガバだが、狙われてる感はない。

Wi-Fiは、耐えうるレベル。
モーリタニアの全体的クオリティを考えれば健闘していると思う。

トイレとシャワーはひとつずつ。
トイレは洋式だが便座なし。
シャワーはお湯が出る。

一応コンロのあるキッチンがある。
設備は不十分だが、最後の晩飯は食材を買って自炊した。

オリジナルタジンつくった。


ヤギ肉500g、パプリカ1個、米360g。
この食材費だけでなんと計350ウギア(1071円)。
もうムカつくでしょう?
ぼったくられたのか正規の値段なのか、確認できないのも悔しい。

敷地内の地面もやっぱり砂。


どんなに掃除しても部屋の中にこもっても、砂っぽさからは逃れられない。
モーリタニアではいろいろ寿命が短そう。



蚊がすごい。
日没から夜半にかけて活発になり、刺されまくった。
寝る時はシーツを頭からかぶらないと、猛襲されてとても寝付けない。

いろいろあるけど、静かでいい雰囲気。
くつろげる宿だが、物価の高さもあるし、長居はできない。
それに早いとこイスラム圏を脱出しないと、またラマダンがやって来てしまう。


Nouakchot, Mauritania