2019年9月7日

トランスカナダハイウェイ 2

まだまだ山道は続く。
いわゆるカナディアンロッキーをすぎても、大陸の西側にいる限りだいたい山。
プレートにギュッと押されてるからね。
終わらないアップダウン、1日100kmペースを保つのは少々ダルい。

北米に入って初めてトンネルが現れた。
しかも4つぐらい連続で。
サイクリストにとってトンネルは恐怖だが、カナダのトンネルは照明バッチリで明るく、幅も十分広く、距離も長くなく、排気ガスもこもらず、危険はまったくなかった。

でも橋は怖い。
橋になると路肩が消失し、100km/hで飛ばす車と同じ車道を走る。





標高1300m。







グレイシャー国立公園。
野宿に適した場所がなく、不本意ながら国営キャンプ場へ。
C$21.50(1734円)。
高い。
シャワーもWi-Fiも電源も一通りそろっている私営キャンプ場より高い。
何度も言うが、シャワーもない、ただ場所を提供するだけのキャンプ場に金を払いたくない。
しかもここは、焚き火するのに別料金C$8.80(709円)も取る。
悪どい商売してやがるな。



君は冬越せるの?



また時差。
1時間戻す。

この日は1日下って、レベルストークという街でストップ。
標高は450m、すっかり低地。
気温が上がり、街は人口が増え、世界が変わりつつある。



久々のWARMSHOWERS民泊。
少ない人口ながらカナダにも多くのWARMSHOWERSメンバーがいるが、返信率も承諾率も低い。
電波がないからメールチェックをあまりしない、という説もある。
実際、リクエストを送った1ヶ月後ぐらいに「しばらく電波のないところで仕事してたから君のメール今見たよ」という返信が来たりもする。
もう5Gの時代が来ているというのに、カナダの通信事情は実に遅れている。
カナダで生きるということは大自然とともに生きるということだから、あえてテクノロジーとは距離を置いているのだろうか。
僕としても、SIMがないので連絡とりづらい。
今回承諾してくれたホストは退職した夫婦で、だいたいいつも家にいるようだ。

一軒一軒の敷地の広いこと、家のでかいこと、本当にうらやましい。


家に入る時、「まずは持っている食料すべて家の中に入れて」と言われた。
もちろん、クマ対策。
住宅地でも、いや住宅地だからこそ、食料の管理は怠れない。

ホスト宅の庭。








2ヶ月ぶりにベッドで寝た。



キャンプ場が激増。
道中、あちこちに現れる。
見た感じ、ガラ空きだ。
これなら1日の走行距離を短く調整できる。

シカマスという街で、モーテルの裏庭でキャンプ。


C$25(2023円)。
キャンプしているのは僕ひとりだけ。

テントの上には、プルーンが成っていた。


いただき。


隣の木には、真っ赤なリンゴが成っていた。


いただき。


もぎ取ったわけじゃないですよ。
落ちてたやつだけ拾って食いました。

このモーテルのWi-Fiは爆速だった。
動画ダウンロードもあっという間。
やはり、南下するほどいろいろ変化がある。

翌日。

人口の増加が著しい。
わずか30km進んだだけで、次の街が現れた。
サーモンアームとかいう誰も知らなさそうな街で、地図にも大きく描かれているわけじゃないのに、こんな大都会。


ウォルマートもあった。
ちょっと戸惑う。
今後は水と食料をドッサリ積む必要はなさそうで楽になるが、もう大自然とはおさらばなのかと思うとちょっとさびしい。
あと、立ちションしづらくなる。

街を離れても家があったりして、人の気配が絶えない。


天気も安定。



チェイスという街で1泊。




今までの街にはなかった、商店街っぽいストリートがある。


アングロサクソンたちが北米を開拓していった順序を考えれば、環境の厳しい北は一番最後で街が新しく、南下すればいくらか歴史のある街並みとなっていく。
個人経営の小さな売店もあったりする。

通りすがりの人が「ハロー!」とあいさつしてくれる。
道の向こう側にいる人が、僕を見て親指を立てながら笑顔を見せてくれる。
ヨボヨボのおじいさんが「どこから来た? 日本? それはそれは。」と笑ってくれる。

ルイ・アームストロングの「What A Wonderful World」が頭の中で流れた。



キャンプ場はC$25(2023円)が相場のようだ。
Wi-Fiありだがコンセントなし。

とても暑い。
日没後も扇子であおぎ続ける。
これから夏が始まるのか、と思って日付を見たら9月じゃないか。
なんでこんなに暑い?

翌日。
次の街カムループスまでは、川の対岸にあるローカルロードで行く。

カナダ人も目がいい。
「あなた、あの斜面にクマがいるの見える?」


全然見えない。
指でさされた方向を目をこらして、豆粒ほどの動く物体をようやく確認。





よくあんなの見つけられたな。
子グマはずいぶん毛が茶色い。
しかし民家のすぐ背後に、やっぱりいるもんなんだな。

久々の未舗装。


南下して都会になったとはいえ、まだまだ未開発未舗装地帯はざらにある。
この道は、車はたまにしか通らない。
対岸のハイウェイから車のノイズは聞こえてくるが、まあのどかだ。
未舗装でアップダウンもきついけど、車と関わらずに走行できるというだけで、格段に快適になる。







素直に川沿いに道をつくってくれればフラットに行けるのに、どういうわけかいちいち山の方に寄っていくのでアップダウンが繰り返される。
いろいろ事情があるんだろうけど、いまだに道のつくり方ってよくわからない。
少なくとも、「自転車の人かわいそうだからアップダウンやめてフラットにしてやるか」なんていう心遣いは微塵もなさそうだ。









カナダでは一家に一台ボートを所有している?


大英帝国の時代はとっくに終わったが、当時陣取り合戦がうまかった(えげつなかった)おかげで現在もアングロサクソンは豊かに暮らせているのだな。
カナダ人のこの生活水準の高さは、この国の莫大な資源の恩恵だ。



カムループスという街。
これまた大都会。

今まではGSに併設されているぐらいだったセブンイレブンが、街の中にある。


日本みたい。

またとてつもなく暑い。
30℃超。
強い日差しと熱風。
こんなの初めて、っていうぐらい暑い。

暑い時はコンビニでスラッシュだ。


これでLサイズ。
次はエクストラを買ってみよう。

キャンプ場はまたC$25(2023円)。

またWi-Fiありだがコンセントなし。
昨日も充電できなかったので今日はしておきたい。
レセプションのおばちゃんは、「持ってきてくれればここで充電してあげるわよ」と言ってくれたが、そういうことじゃないんだよな。

キャンプ場とはいえ宿泊施設、高い金払ってるんだから電気ぐらい整えておいてくれないかな。
一昔前と違って、今は数多くの電子機器に依存してるんだよ。
ちなみに昨日も今日も、ランドリーなし。
洗濯はいつも手洗いなのでいいのだが、ランドリーにコンセントがあるパターンが多いのだ。

キャンプ場から3km、街中にあるマクドナルドへ。
コンセントがあるのを確認してから、マックシェイクをオーダー。
しかしここのマック、なんとコンセントに電気が通っていない!
他の箇所も試してみたが、全部ダメ。
しかも、ネットもつながらない!
クソッ、何のためのマックだよ。
街ぐるみで僕に充電させない気か。
僕はただマックシェイクを飲むためだけに、疲れた身体で炎天下を自転車で3km、往復6kmもこいだ。
しかも長居するつもりだったからLサイズ、正確な額は忘れたが、C$4(326円)以上払った。

10年後にはどうなっているだろう?
すべてのデバイスは自然エネルギーで自動充電され、コンセントだとしてもわずかな時間で瞬間充電、ネットは世界中どこでもフリー。
そして10年前である現在を思い出して「昔は大変だったんだよ」とか言ってるだろうか。



熱帯夜。
眠れん。


Kamloops, BC, Canada

28222km