アフリカ大陸最小の国、ガンビア。
秋田県ほどの面積。
人口200万人。
近年、世界のビザフリー化がめざましい。
数年前まで国境が閉ざされていたミャンマーも今やビザフリー。
難関と言われた中央アジアも5ヶ国中3ヶ国がビザフリー。
ブラジルも今年6月からビザフリーとなる(日本を含む4ヶ国のみ対象)。
ロシアもいずれそうなりそうな動きを見せている(?)。
しかし、アフリカではまったくその兆しは見られない。
貧しきアフリカ、お金が大好きなアフリカでは、ビザ代と称して外国人から通行料をたっぷりふんだくりたいのだ。
特にこのガンビアという狭小な国、通行料を取るためだけに存在しているかのような形状をしているではないか。
自転車でも1日で通過できてしまうこの国に、ビザ代6745円とはまるでヤクザだ。
ガンビアを回避して南下することも可能だが、どんな国なのか見てみたい好奇心が勝ってしまう。
15世紀にポルトガルが到来、16世紀にガンビア川の独占通商権をイギリスに売却。
17世紀からフランスが進出して支配権を争ったが、ガンビア川流域はイギリス領のまま保持された。
1965年独立。
フランスの影響が圧倒的なアフリカ北西部においてガンビアが異彩を放っているのは、やはり公用語が英語であるということ。
事前の下調べで知ってはいたが、実際に人々から英語で話しかけられ、看板の文字もすべて英語、というのがなんとも不思議な感じ。
ウォロフ族が多数派のセネガルに対して、ガンビアではマンディンカ族が多数派。
僕には区別つかない。
農村の子供たちも英語で大歓迎してくれる。
せっかく英語話せるのに、こいつら「Give me money!」と「Give me mango!」しか言わねえ。
いつものごとく、海に近づくと涼しい風が吹いて気持ちいい。
ガンビア川の河口をフェリーで渡る。
次々に「Can I help you?」と声をかけられる。
信じるべきか、疑うべきか、慎重に様子を見る。
チケット売り場で並ぼうとしたら、「君は並ばなくていい、こっちに来い」と言う人がいる。
ふつうに考えたら怪しいけど、どうも悪人には見えず、ついて行った。
ゲートを開けてもらい、中に入って謎の人物に50ダラシ(112円)払ってチケット購入。
よくわからないが、わからないことを質問して会話できるということが、なんと楽なことか。
今までフランス語の勉強をサボってきた自分の怠慢に他ならないのだが、まともに会話できずに旅してきたのはやはり大きな損があったと思う。
フェリーのタイムテーブルは不明だが、運良くいいタイミングで来てくれた。
しかし、物資を積んだ車、二輪、歩行者を限界まで詰め込むので、出発までけっこう待たされた。
ガンビアのバスはハイエース。
通常サイズの中古ハイエースに、小さな子供も含めて軽く20人は乗っている。
25分の航行で対岸に。
首都バンジュール。
首都感は皆無。
統計的にはイスラム教が大多数だが、教会も見かける。
最初のイメージでは、ガンビアなんてセネガルよりずっと格下の国だと思っていたが、全然違う。
街はゴミだらけというわけではないし、建物も比較的小ぎれいだ。
セネガルよりずっと整然とした街並み。
通行料を取るだけの国、という発言は撤回。
天然の良港を持ち、水量も豊かなガンビア川を確保した恩恵で経済も良好なのだろうか。
重要なポイントはしっかり押さえるイギリスらしい。
バカウ。
フィッシュマーケットを歩いていると、次々に声をかけられる。
ガンビア人の英語はかなりクセがあるが、それでも日本人の耳には本場の英語よりずっと聴き取りやすく、楽しく会話できる。
公用語が英語とはいっても、現地人同士では母国語であるマンディンカ語やウォロフ語などで会話している。
物価はセネガルより安い印象。
スーパーの商品のラインナップも今までと違う。
イギリスから輸入しているのだろうか。
底辺宿で1泊。
500ダラシ(1119円)。
水道なし、バケツに水が用意されている。
扇風機あり、蚊帳なし。
カメラの性能が良いので明るく見えるが、実際は赤色の裸電球ひとつなので暗い。
注意点は、コンセントがイギリス式であること。
ユーラシア大陸の広範囲で、そしてアフリカ北西部でも、丸ピンタイプのプラグひとつでだいたいいけるが、イギリス、アイルランド、そしてここガンビアでは違う。
マルチプラグを持っていれば問題ない。
Wi-Fiは、宿に併設されているレストランで使える。
食事もここですると安い。
流れている音楽は、マイケル・ジャクソンだったりジャジーなものだったり。
こんな小さな国でも、周辺国とこれだけ違う。
結局、弱小な国では、どの国に植民支配されたかということに大きく左右されるのだ。
独立して半世紀以上が経った今もなお。
ガンビアダラシ。
Ziguinchor, Senegal