2019年7月6日

アラスカハイウェイ 1

しばしフラット。


アラスカ最後の都市フェアバンクスを離れると、というかアラスカには都市が2つしかないのだが、また人口希薄になり、食料の補給が困難になっていく。
次の都市は、フェアバンクスから1000kmほど南東のカナダのホワイトホース。
それまでは、街に小さなスーパーはあっても割高で品ぞろえも少なく、ひもじい思いに耐え忍ぶことになる。



アラスカにも夏が迫ってきており、日々気温上昇している。
晴天時は日差しが強く、そろそろ30℃に達しそうな勢いだ。

アラスカ・アンカレッジで史上最高32.2℃記録

フェアバンクスから75kmほどのキャンプ場で1泊、US$20。
ここは木が少なく、木陰にテントを張ってもしばらくすると日が動いて直射日光を食らってしまう。
暑くてとてもいられない、日が沈むまで待とう。
と思ったらここは日が沈んでくれないのだ。

たまらずキャンプ場の売店でアイス、US$4。


アイスひとつにUS$4はやりすぎだが、ガマンできない。
それに、ボリュームがすばらしい。
写真では伝わらないが、ガッツリ盛ってくれてズッシリと重い。

21~22時ぐらいでようやく気温が落ち、テントの中に入れる。





水辺でムースの親子を見た。
母ムースは馬並みのサイズ。
20mほどの近距離。
驚いてすぐに親子ともども森の中へと姿を消してしまった。
写真は撮れず。



その後もまた1頭のムースを見たが、やはりすぐに逃げてしまった。

デルタジャンクションのキャンプ場で1泊、US$20。
ここは22~8時の間、トイレ・シャワールームが施錠されてしまう。
「夜中にトイレに行きたくなったらどうすればいいの?」と聞いたら「その辺の森の中でどうぞ」と言われた。

キャンプ場には私営と公営の二種類があり、デルタジャンクションには両方ある。
公営はシャワーも電源もないのに、US$15もする。
これだったら野宿した方がいい。
どうせお金を払うなら、必要なものがそろったUS$20の私営に泊まる。
夜間にトイレ・シャワールームを施錠するのは防犯のためなのだろうけど、設備がそろっているのが私営の売りなのだから、パスコードで解錠できるようなシステムをつくっておくれ。

デルタジャンクションからカナダに向かってアラスカハイウェイが始まる。
引き続きフラット。


ようやく撮れたムース。


前方から見るとシカっぽいけど、面長なので横を向くとウマ。


イカツイ。


どうしても手前の木にピントがいってしまう。

森の中の野宿は虫がすさまじい。


蚊だけでなく小バエのような虫が、僕の周囲にもテントの周囲にも無数に集まって常時包囲される。
テントの中に入ってこないよう、出入りの際は注意しなければならない。
クマ対策のためテントから離れたところで調理するのだが、虫たちはずっとつきまとってくる。
ハエ類は日が沈めばおとなしくなるものだが、ここは日が沈んでくれないのだ。
蚊取り線香を買うべきかな、物価が高すぎるのでそれすらもケチってしまう。

フェアバンクスでもらったこのテント、耐水性がかなり怪しい。
ここ数日は天気が安定しているが、雨が降り出したらヤバそうだ。

近くにきれいな小川。


水はとても冷たいが、この日も日中は暑くて汗をかいたので、軽く水浴びし、洗濯もした。
わずかな時間の水浴びだったが、2匹のヒルが足にひっついていた。



針葉樹林の海。




典型的なアラスカの風景が続く。



アラスカ最後の街、トークで2泊。


3~4軒のキャンプ場があり、最安のこのキャンプ場は、テントサイトがUS$16。
敷地内にホステルもあり、テントサイトよりも安いUS$12。

これがそのホステル!


4ベッドドミトリー。


アラスカのあらゆる宿泊施設の中で、ここは最安かもしれない。
800mほど離れた隣のキャンプ場は、テントサイトでUS$34.50、頭おかしい。

このキャンプ場はセルフサービス。
希望の場所を選び、封筒に必要事項を記入してお金を入れてポストに投函する。
なので、管理者は不在が多い。
部外者も敷地内に侵入できて、ドアも鍵もないこのホステルの室内にも容易に入れてしまう。
無用心極まりない。

あと、室内にコンセントがないのも問題。

しかしキッチンがあり、冷蔵庫もあり、ロッカーもある。


ここまでのサービスがあるキャンプ場はなかなかない。
ここもその気になれば誰でも来れて、勝手にキッチンを使用したり備品を盗んだりもできてしまう無防備っぷり。
冷蔵庫にはドリンクがストックされており、「飲んだらUS$1置いといて」と書かれている。
治安の良さが表れている。

トイレ・シャワールームは施錠されている。
ドアに貼られているQRコードをスキャンすればパスコードが表示されて解錠できるが、これって部外者でもスキャンできてしまうから施錠の意味がないのでは?

早くも忘れかけていたが、西アフリカでは、いや西だけでなくアフリカ全土だと思うが、宿泊施設を始め建物は鉄条網付きの塀に囲まれ、ガードマンが常備していた(ちゃんと仕事してるのかどうかは怪しいもんだが)。
スーパーや携帯屋のような店でさえ、ライフルを持ったガードマンがにらみをきかせており、ちょっと買い物するだけでも物々しく武装した者が身近にいた。
同じ人間でも、社会構造の違いが極端だ。

街には1軒のスーパーあり。
まともなスーパーだが、やはり全体的に割高で品ぞろえも今ひとつ。

米がない。
アメリカもやはり、米は圧倒的にロンググレインが主流。
都市の巨大スーパーだったら日本の米に近いラウンドグレインを見つけられるが、田舎街のスーパーはロンググレインのみ。
ロンググレインなんて同じ米とは思えない、とても買う気しない。

仕方なく米はあきらめ、スパゲティ。
スープスパゲティはもう飽き飽きなので、パスタソースを買ってみた。


チキンとナスとチーズを加えて、なかなかの出来。

でも考えてみたら、自炊の初歩はこういうスタイルから始まるものなんだろうな。
僕はこれをすっ飛ばしてずっとスープスパゲティでやってきた。
実際、燃料の消費などコスパを考えるとスープスパゲティが最強なので、野宿時はいいが、キッチンがあるようなところではもっとバリエーションを増やしたい。

小学生の時によく飲んだやつ。


電子機器の充電は、このキッチンにあるコンセントで。
キャンプ場でいつも気がかりなのが、充電。
ほとんどのキャンパーはRVで電気も水道も接続し、何一つ不自由ないだろうが(その分高いが)、少数派のテント(今回はドミトリーだが)は、いつも充電できる場所を探さなければならない。
コンセントがあるのはたいていランドリーとかキッチンとかの共用部なので、迷惑かもしれないがしばらく居座る。

意外にテントサイトを利用している人が多く、キッチンのコンセントが埋まってしまうことも。


ここ十数年で、スマホを始めとする電子機器なしでの旅は考えられなくなってしまった。
強力な武器を得たものの、電源という課題がある。
もちろんモバイルバッテリーは持っているがそれは補助的なもので、宿泊する時はコンセントからしっかり充電しておきたい。
ほとんどの旅行者が必要とするものだが、ホステルやキャンプ場などはいまだ十分な電源の提供が追いついていないのが現状。

翌日は90kmほど進み、無料の公営キャンプ場。


キャンプ場といっても、簡易トイレとゴミ箱とピクニックテーブルがあるだけ、公園と変わらないから無料でいいと思う。



数日前に出会ったアメリカ人マダムサイクリスト3人組(60~70歳ぐらい?)、それからフィンランド人カップルサイクリスト(女性は両足義足)もやってきた。
これから先、サイクリストとの出会いがもっと増えると思われる。

せっかくのレイクビューだが、あいにくの曇天。



Haines Junction, Yukon, Canada

24134km