2020年1月13日

テピク

走行開始早々、スポークが折れた。
どうせ折れるならヒマを持て余している時に折れてほしかった。

マサトランから南東へ進むには、「15D」と「15」の2本の道路がある。
15Dは自転車通行禁止の高速。

マサトランのホストから、この15Dで行くようにと勧められた。
15Dは自転車通行禁止だが路肩があるので安全。
15は自転車通行可能だが路肩がないので危険。
またしても、ルールと実情が真逆。
道路をつくる側はこんなこと考えもしないんだろうな。
途中、何度かパトカーが通過したり警官と目が合ったりしたが、何も言われなかった。

料金所が現れたら、自転車から降りて側道を歩いて通過する。

エスクイナパという小さな街。

ツーリスティックなマサトランとは打って変わって、昔から変わってなさそうなボロい田舎街。
大人も子供も、僕を見て「アミーゴ!」と呼んでくれる。
ああ、これこそ僕の知ってるメキシコだ。

ボロい田舎街でも、ホテル、スーパー、コンビニとそろっているので困ることはない。
宿は280ペソ(1635円)。

さっそく、スポーク交換。
折れた原因は、サンディエゴの自転車屋でパーツ交換してもらった際、頼んでもいないのにスポーク調整をされてしまったこと。
キツく締めすぎだ。
荷物満載の自転車の場合、やや緩めのテンションにして負荷を逃してあげないと折れやすくなる。
軽量ロードバイクと同じ扱いにしてもらっちゃ困る。

折れるのはリアのスプロケット側が多いのだが、今回はめずらしくリアの左側。
リアのスポーク交換は右であれ左であれスプロケットを外す必要があるのだが、これがまたキツく締められていて外れない。
これもちょっと加減してほしかったな。
スプロケットリムーバーを持ってないのでチェーンを巻きつけて固定して外すようにしているのだが、いくら力をこめても外れない。
やむをえず、スプロケットを装着したまま、スポークを曲げながら強引にハブ穴に通した。
これもヘタするとスポークがグニャグニャに曲がってしまうので、慎重にうまくやる。
無事はめた後、すべてのスポークをいったん緩めて、一から締め直した。

サンディエゴの自転車屋では、他にも何箇所か、頼んでもいないのにいじられていたところがあった。
良かれと思ってやってくれたのだろうけど、僕も何も考えずに乗っているわけではない。
すべてちょうどいい具合にセットしてあるので、勝手なことはしないでほしいものだ。
面倒くさくてついパーツ交換を店でお願いしてしまったが、やはり自分でやるべきだ。
でも今度スプロケットを外す時が来たら、店でスプロケットリムーバーを借りないとダメだろうな。




バハカリフォルニアはメキシコでも特に乾燥地帯だったのか、こっちは水辺があり、サボテンではなくふつうの木々が生い茂り、農業もさかんだ。


また気温上昇。
30℃。
こうも暑いと昼飯はアイス以外喉を通らず、野宿もする気になれない。

赤道はまだはるか先だが、完全に熱帯になってしまった。
この時期だったら涼しいかなと思っていたのだが、甘かった。
たぶん中米はいつ来ても暑い。


この日はフラットで快調に飛ばし、130km走行。

ルイスという、また小さな田舎街。


バイクが増えた。



先住民の血が濃く、褐色の肌をした人が増えた。
小柄で黒髪直毛、そのルーツは我々と同じモンゴロイド。
長いスカート、華やかな民族衣装をまとった女性も多く見られる。
今のところシャッターチャンスは逃してしまっている。





暑い時には最高の冷たいドリンク。


これはテフイノスと呼ばれ、発酵トウモロコシでつくられているそうだ。
トウモロコシっぽい味はせず、新感覚のジュースといった感じ、すごくおいしい。
まあ、これだけ暑いと冷たけりゃ何でもおいしい。
16ペソ(93円)。


先住民っぽい小さな男の子が近づいてきて、「セニョール、どこから来たの?」と聞かれた。

アフリカでは、日々「白」だの「チンチョン」だの言われ続けた。
中南米では、「チノ」(中国人)と呼ばれ続けるのが日々のストレスとなる。
経済水準が低くなるほど外国人に対する注目度が高まり、人を指でさして人種や国の名前で呼んだりする。
しかし今回のメキシコでは、まだ一度もチノとは呼ばれていない。
こんな田舎街で「セニョール、どこから来たの?」だなんて、なんとも礼儀正しいじゃないか。

まあでもわからない、これからチノチノ攻撃が始まるのかもしれない。
植村直己の著書にも「南米ではチノと呼ばれる」という記述があったので、はるか昔からの習慣が簡単になくなるとも思えない。

電気コンロ購入。

なんとこれ、99ペソ(578円)。
中南米はテント泊よりホテル泊が多くなり、ガスも入手しづらくなる。
こんな安価な元手で燃費ゼロに抑えられるなら、買わない手はない。
もっとミニサイズがあれば良かったが、これは全然重くないし、問題ない。
ちなみに、昨年西サハラで買った電気コンロは、北米に飛んでから電圧の違いのせいかパワーが弱すぎて使い物にならず、だいぶ前に廃棄してしまった。

相変わらずチキンが安い。


755g(もも2つ)で21.90ペソ(127円)。
ここ最近、肉はチキンしか食べてない。

この手のスイーツもスーパーでよく売っている。

22.50ペソ(131円)。
チキンより高い。


ハバネロ注意!

高速道路にハバネロが落ちてるのはこの国ぐらいか。

唐辛子のルーツは中南米。
ハバネロは(意図的に品種改良されたものを除けば)世界一辛いそうだ。
これを世界に広めた犯人は、かのコロンブス。
そもそも大航海時代は、ヨーロッパでは自生しない香辛料を求めてアジアへの海洋ルートを開拓したことから始まった。
唐辛子が英語で「red pepper」と呼ばれるのは、インドと間違えてこの地へ到達したコロンブスによってハバネロもコショウ(pepper)の類とみなされたからであろう。

正確には、この写真の物はハバネロではなくハラペーニョかもしれない、あるいは別の種かもしれないが、そんなことはどうでもいい、辛いことには違いないんだろう。

北米でもらったベアスプレーは今も携帯しているが、その主成分は唐辛子。
カラスなどの害獣撃退にも唐辛子が有効だと聞く。
そもそも植物が鳥などの天敵に食べられないよう身を守るために進化した毒物と言うべきもの。
人類はなぜこんな凶器を口にするようになってしまったのか?


山道が始まった。
暑さに加えて険しい山道、2Lのコーラがあっという間に枯渇。

料金所でコーラを売っていて助かった、しばし談話。


人はバハカリフォルニアよりフレンドリーになった気がする。
単に人口密度の違いかもしれないが。
登り坂をチンタラ押して歩いていると、たびたび声をかけられる。

またハバネロ。

思ってた以上の登りで、標高900mまで上がった。
前日の130km走行とは大違いで、その半分の65kmでヘバッた。
この先もっと登って涼しくなってくれることに期待。

テピクという街。 


Booking.comで最安のHospedaje Tepic、280ペソ(1635円)。
きれいで広々としたいい部屋。

スーパーで発見した新手のコーラ。

2Lで17.30ペソ(101円)。


Tepec, Mexico

36118km



4 件のコメント:

  1. スポーク折れましたか!大変だ!
    何でもしなければなりませんね!(流石です)
    暑いのは大変ですね!
    水分をたくさん携帯しなければなりませんね!
    電気コンロも購入ですか。
    コンセントは、どこにでもありますか?

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    1. 宿にコンセントがなかったら電子機器も充電できませんし、そんなところにお金払って泊まろうとは思いません。
      よほどの貧困国ならそういうケースもありえますが。

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  2. アフリカ大陸で経験された暑さとはまた異質の暑さとの対峙ですね。

    釈迦に説法でご容赦下さい。
    去年夏にハーフパンツに代えてタイパンツを履いて走行してました。
    タイパンツだと直射日光が当たらない、風通しが良い、すぐ乾く、肌触りが良い、軽いと良いことずくめでした。
    ご参考程度までに。
    休日サイクリストの戯言でした。

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    1. 裾長どんなもんか知りませんが、右裾チェーンに巻き込まれるのでは?
      財布、スマホなどを入れられるポケットがあってスリ対策できるような構造になっていればいいですが、そうでなければ旅用には使えません。
      1年前にロンドンで買ったKarrimorのハーフパンツは2万km以上走ってもまだケツが擦り切れておらず、今まで買った中で最も耐久性あります。

      アフリカの時との違いは、今は一応冬なので夜は涼しく、エアコン扇風機なしでも寝れるのが救いです。

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