2019年7月28日

アラスカハイウェイ 5







マンチョーレイク。




晴れてたらさぞかし美しかろう。





ここは北部ロッキー山脈(Northern Rockies)。





ムース。


さすがにこれだけ離れていれば逃げられることはないが、それでもこちらを警戒しているのがわかる。











目撃するのはメスばかり。
立派な角の生えたオスのムースが全然現れてくれないな。





長い雨。
強くはないがずっと降り続ける。

Toad River Lodgeでストップ。
Lodgeと名の付くところでも、サービスステーションと同様にキャンプ場やレストランやGSが併設されている。

ズブ濡れの状態でテントを張りたくなかったので、レストランでしばし時間をつぶす。
とうとう、マクドナルド以外で初めての外食。


C$17.25(1423円)。

広大な大陸だが、どこへ行ってもレストランのメニューは同じようなもん。
ハンバーガーかサンドウィッチか、こういうやつか。
決してマズくはないのだが、食文化に面白味はまったくない。
と、13年前はグチをこぼしていたが、日本のような豊富なバリエーションを持つ食文化の方が稀有だということが今はわかっている。
世界の大半の人々は、毎日同じようなものばかりを食べ続けている。

しばらくしたら雨は上がるだろうと期待していたが、いつまでたっても降り続ける。
結局、雨の中テントを張る。
テントサイトはわずかしかなく、他のサイクリストに先を越されていたので、RVサイトに張ることになった。
C$37(3053円)。
こんな不便なところで、ズブ濡れになりながら、野宿よりはマシだからというだけで、大金がすっ飛んでいく。
部屋に泊まりたい誘惑も少しあったが、C$120(9903円)、ムリムリ。
拭き取っても拭き取っても、何もかも濡れたまま。
気分は落ち込んでいたが、ここはWi-Fiはまともで、ランドリーは無料。

翌日は天気回復。






大型のブラックベアもいるはずだが、目撃するのは小物ばかり。





ワトソンレイクで買いだめした食料がどんどん尽きていく。
Tetsa River Lodgeでホームメイドのパンを買った。


C$7(577円)。
ウマイ。
ズッシリと重いし、これはリーズナブルだと思う。
トーストしてバターを塗りたくったら、さらにウマイんだろうな。

州営キャンプ場で、日本人サイクリストのタカシマさんと出会った。


アンカレッジからラスベガスへ向かっている。
退職してから自転車旅を始めたそうだが、すでにユーラシアやアフリカなどを走行している。

アラスカで出会ったアメリカ人サイクリストのマダム2人と再会した。
3人組だったはずだが、1人は途中で帰国したそうだ。

この州営キャンプ場はC$20(1649円)。
まったくお得感がないので、今後は州営キャンプ場は避けて野宿するようにしたい。

焚き火してみたが、薪も枝も雨で湿っていて火はつかなかった。
薪もキャンプ代に含まれていると書かれていたが、それなら濡れないようにしっかり管理してほしいものだ。

現在、日の出4:50、日没21:45。
夜が夜らしくなった。
北米に来て初めて、ヘッドランプを使った。

標高1000mほどの峠。






北米のカラスもデカイ。


パンを食べてたら寄ってきた。
鳴き声は日本のカラスと全然違い、人間の叫び声のような奇声を発する。



晴天、気分いい。


しかし、街まであと10kmというところで、雨。
晴れと雨の境界が道路でもはっきり。


フォートネルソンに到着。

ワトソンレイクより店が多い。
ガスを購入。
これだけアウトドアがさかんなのだから売っていて当たり前、ワトソンレイクで売ってなかったのがおかしかった。
ただ、かつてないほど高く、ホワイトホースでC$11(909円)だったのがここではC$16(1318円)もした(メーカーは違うが質的な違いはないと思われる)。
でもまあ、ホッとした。
火が使えなかったら生死にかかわる。

街へ着いたらとにかくメシ。
物価が高かろうが空腹には勝てず、晩飯はいつもより倍増。

メインを食べ終えたら、すかさずチェリーパイ1kgを一気食い。


C$7.99(658円)。
メインよりデザートの方が高くついたが、これでようやく空腹感が癒えた。

北米ではベーグルも定番、これも好物。


1個あたりC$0.75(61円)。
走行中の昼飯にはこれがいい。
食パンだとジャムやらチョコクリームなどもセットで買わなければならないが、ベーグルなら単独でいける。
食感も好きだし、中身が詰まっていてズッシリ重みもある。
トーストするとめちゃくちゃウマイのだが、トースターがあるところなんて個人宅かホステルぐらい。

ニセコーラ、2LでC$1.00(82円)。


キャンプ場は1泊C$24(1979円)。
ワトソンレイクのキャンプ場の2.4倍!
シャワーは5分でC$1(82円)。
Wi-Fiは後進国レベル、電源はランドリーでなんとか座るスペースを見つけて充電。

ネットをやるならすぐ近くのビジターセンターの方が調子いい。
なんだかこのパターン多いな。

タカシマさん、アメリカ人マダム2人組、それからアイルランド人の女性サイクリストも同じキャンプ場に来た。
あまりいいキャンプ場だとは思えなかったが、疲れがたまっていたので僕もかれらも皆連泊。

2日目は雨、いや正確には初日の夜から雨。
テントを替えたい。
フライシートの耐水性は悪くないが、グランドシートがポリエステルではなくナイロンなので、下から浸水してきてマットや寝袋が濡れる。
いくら拭き取ってもスッキリと乾かない。
このタイプは嫌いだ。


Fort Nelson, BC, Canada

25555km



2019年7月25日

アラスカハイウェイ 4

ユーコン最後の街ワトソンレイクもまた、ゆっくりのんびりすごせるようなところではなかった。

キャンプ代がC$10(823円)と安くすんだのは助かった。
ただし、シャワーはコイン式で5分につきC$1(82円)。
Wi-Fiなし。

すぐ目の前にあるビジターセンターでネットにつなげられる。
中にコンセントとUSBポート付きのカウンターがあり、ラップトップ広げてしばらく居座っても文句言われることはない。
でも節度というものがあるので、最低限の作業と調べ物だけ済ませて撤収。
本当は寝そべってダラ~っとネットやりたい。

スーパーはあるが、やはり恐ろしく物価高い。
数日分の食料と日用品を買い込んだらC$100(8234円)近く使ってしまった。

ジェリービーンズは僕にとって仙豆のようなもの。


走行中やキャンプ中の耐え難い空腹時も、これを頬張っていれば活力がみなぎる。
818gでC$7.99(657円)、これは高くても買う。

ガスがない。
カナダの店はアラスカほどアウトドア用品が充実しておらず、OD缶が売っていない。
ホワイトホースのアウトドアショップで買っておいたのだが、近頃ガスの消耗が激しくて(米を炊いているからだと思う)、頻繁に買い足さないともたない。
ワトソンレイクで買えると思っていたのだが、誤算だった。

連泊せずに走行。
ダルいアップダウンが続く。

ブリティッシュコロンビア州に入った。
かつてアメリカにもまたがっていたコロンビア地区に由来し、アメリカ領と区別するためイギリス領のコロンビア地区という意味で「ブリティッシュコロンビア」と名付けられた。
日本の2.5倍の面積、人口500万人。
ユーコンとは桁違いの人口だが、その大部分はアメリカとの国境に近い南部に集中している。

この先アラスカハイウェイは、さらにサービスが乏しくなっていく。
Iron Creekは閉業。
Contact Creekは営業しているがキャンプ場なし。
キャンプはできないのかと聞いたら、敷地内にテントを張ることを許可してくれた。

翌日は雨。
本格的に多雨地帯に入ったようだ。
西ヨーロッパと同じぐらい、この界隈のカナダ山岳地帯は毎日雨。
日本の梅雨なんかかわいく思えてくるぐらい、とにかくよく降る。
ただ、西ヨーロッパは路面上に細かい砂利が多く、雨天走行後は砂利まみれになって掃除が大変で自転車パーツの消耗も激しかったが、こっちはそうでもない。

バイソンの大群に遭遇!


意外に警戒心が強いようで、200mほど近づいただけで早速逃走モードに。
野生動物は、車が近づいても逃げないが自転車が近づくとすぐ逃げてしまう。
かれらの目には僕はクマに見えているのかもしれない。



1頭が走り出すと他も続き、大群全体が疾走。
雨の中、カメラを持ちながら僕も走る。
僕から逃げたければ森の中へ入ればいいのに、ひたすら道路に沿って走る。
この辺は長く緩やかな下りだったので、追いつくことができた。



すごいタフだな。
この巨体で、20km/h以上でしばらく走り続けた。


最後尾の数頭はバテてきたようだ。
でも僕に抜かれてもまだ走り続ける。


やがて止まった。


アメリカバイソン。
北米に生息する野生牛で、大きいものは体重1tを超す。
現地ではバッファローと呼ばれることも多いが、バッファローはアジアやアフリカに生息する水牛で、角はバイソンより長く、体毛は薄い。
おそらく、北米の人はバッファローという言葉を野生牛を指すものと解釈し、現地の野生牛であるバイソンをそう呼ぶようになったのだろう。

その後、ブラックベアを目撃したが距離が遠すぎていい写真は撮れなかった。


バイソンに比べて迫力に欠けるな。

クマは人間を襲うものだと思われがちだが、クマは「通常は」人間を襲わない。
少なくとも道路上で遭遇した場合、僕がクマに気づくより先にクマは僕の存在に気づいている。
クマも含めてたいていの野生動物は、こちらから近づくと嫌がって逃げるものだ。
クマが人間を襲うのは、そうでないパターンの時。
たとえばクマも気づかぬうちに不意に近距離で遭遇してしまった時、あるいは軽率な好奇心で接近しすぎてしまった時、また子グマに近づいたら母グマに襲われるのは言うまでもない。
野生動物にはそれぞれ、「これ以上近づいたらダメ」というゾーンがあるのだろう。
近距離でクマと遭遇してしまった場合、背中を見せて逃げてはいけない。
捕食動物というのは逃げようとするものを追う習性があるからだ。
前を見たまま、大声を出したり腕を上げたりして自分を強く大きく見せて、少しずつ後ずさりして距離をとるのがいい、と言われている。

Coal River。


僕はここCoal Riverのサービスステーションをよくおぼえている。
13年前、ここで働くブライアンという男と楽しい時間をすごした。
彼はここに住みついているようだったし、13年という月日を経て再会できたらおもしろいなと思っていた。
でも残念ながら、彼はもうここにはいなかった。

ここはもうだいぶ古びており、とてもきれいとは言えない。
水道水は濁っていて変な味がする。
Wi-Fiもない。
にもかかわらず、キャンプ代はC$22.50(1852円)と割高。

この界隈のサービスステーションは、電気が通っていないのか、あるいは十分な電力が供給されていないのか、ジェネレーターで発電している。
さすがにアフリカと違って時間制限はなく24時間使えるが、一日中ジェネレーターのエンジン音が鳴り止まない。

ガス節約のため、焚き火。


今まで、誰かと一緒にいる時に余興として焚き火することはあったが、自炊目的でひとりで火を起こしたことは一度もなかった。
やってみると、楽しい。



むしろなぜ今までやってこなかったのか。
こういう釜戸と薪が用意されているキャンプ場は多い。
せっかくこんないいものがあるわけだし、節約しない手はない。

完成!


最高。
多分味はいつもと同じなんだろうけど、気分的においしい。



2頭のバイソンと遭遇。
僕から逃げることなく、黙々と歩き続ける。







草を食べるわけでもなく、車や僕のことも意に介せず、ただただ歩く2頭。
一体どこへ向かっているのか。





何だろう。
現代に生きる草食哺乳類のはずなのに、太古から生きているかのような「恐竜感」。
この異形に呆然と見とれてしまう。







「野生」に近づき触れてみたいという軽率な好奇心。
一瞬、「これ以上近づいたら殺すよ」というサインをこの草食動物は僕に向けた。
襲いかかるグリズリーを返り討ちにして殺してしまうこともあるというバイソン。
怖かった、接近しすぎてごめんね。

間近で見たバイソン、無数の蚊につきまとわれていた。
かゆくないのかな。

しばらくして、また2頭のバイソン。
口はどこにある?




こっち見てる。


やはり車には無関心、僕の方を警戒している。



不安定な天候。


この後、激しい雷雨。
雹。

衣類やバッグは防水仕様になっているが、あまりに激しく長く降られると、少しずつ浸水してくる。
アンカレッジで買ったトレッキングシューズはまあまあの耐水性だが、この雨で完全に浸水してしまった。

Muncho Lakeで1泊。
最初に現れたMuncho Lake RV Parkは閉業。
ここに泊まるつもりだったのに。
数km南にあるNorthern Rockies Lodgeに行ってみたら、テントサイトでC$45(3705円)という聞いたことのない額を言われ却下。
すぐ近くの公営キャンプ場に行ってみたら、RVで埋め尽くされており、テント張れず。
公営キャンプ場の井戸で水を汲み(茶色く濁っていたが味は問題なかった)、湖で水浴びして、すぐ近くの荒野で野宿することにした。



この夜、また激しい雷雨。
テント浸水。
雑巾で拭き取って絞って、を繰り返した。


Toad River, BC, Canada

25352km



2019年7月21日

アラスカハイウェイ 3

正確にはアラスカハイウェイからちょっと逸れて寄り道。

エメラルド湖。

走行中、日本人サイクリストと出会った。
大阪西成のジローさんという人で、バンクーバーから北上している。
お互い、北米で日本人と出会うのは初めて。
僕はセネガルの日本人宿以来か。

ジローさんは大阪人魂の塊のような人で、会った瞬間から怒涛の如くしゃべり続ける。
年齢は50歳だが少年のように楽しそうにケラケラ笑い、話もおもしろい。


20kmほど一緒に走り、州営キャンプ場でストップ。
到着したのは15時ぐらいだったかな、それから深夜までずっと話しこんだ。

話を聞いた感じ、ジローさんは英語はほとんどできないようだが、カナダ人と話す時も大阪人特有のハイテンションなノリで、
「せやろー!」
「せやなー!」
「ほなまたー!」
といった感じで、僕なんかよりずっと上手に人付き合いしているように思える。
現地人や旅行者にとっても、およそ日本人のイメージからかけ離れたこの大阪人のソウルは、ウケがいいに違いない。


そのガンガン攻めていく外交的な性格とは裏腹に、ジローさんは植物や鳥類が大好きな生き物博士。
写真も雑草ばかり撮っている。
時々図書館に行って、図鑑を模写して自分なりの図鑑を作成しているという、まあ変わった人だ。
その辺の雑草についていろいろ説明してくれるのだが、僕にはよくわからん。

ただ、そこらじゅうに生えているこのファイヤーウィード(ヤナギラン)が食べられるということを教えてもらったのはよかった。



さっそく晩飯に投入してみた。

味は、特にクセはない。
物価高で最低限の食材しか買えないここでの粗食に緑を添えられるだけでもいい。

とにかくよくしゃべるジローさん。
ひとりでいる時もずっとひとりでしゃべり続けるらしい。

「リョウさん、おれの話に疲れたら遠慮なく言ってくれや! おれは鍋としゃべるから!」


翌日、それぞれ別の方向へ。
ジローさんはスマホやパソコンなど通信機器を一切持っていない。
日本にいる時も携帯を持っておらず、メールアドレスすらないという。
今後一切連絡がとれないが、「西成に来ることがあったらいつでも遊びにおいでや」と住所を書いてくれた。

カークロスという小さな街のキャンプ場、C$20(1655円)。

田舎街のキャンプ場では、RVサイトとテントサイトの区別がないところがある。
ここではテント泊でも水道と電源がとれる。

Wi-Fiもバッチリ。
つまりテントの中にいながら、バッテリーを気にすることなくネットやり放題。
この条件がそろったキャンプ場はここが初めて。

ホワイトホースでのんびりできなかった分、ここで2泊した。
ただ、日陰がないので日中は暑い。
ロビーのような逃げ場もない。

このキャンプ場のミニスーパーは、小さいながらも食料がそこそこあり、比較的安い。

ヨーロッパでは€1で毎日のように買っていたチョコチップクッキー、ここではC$4.99(413円)。

北米ではここで初めて買った。
ボリュームは1.5倍ぐらいある。

北米でチョコチップクッキーといったら、こういうホームメイドの方がポピュラー。


グニャッとした柔らかい食感のものが多い。
僕はもちろん大好きだが、平気で1枚C$3~4(248~330円)ぐらいする。

バナナは1本C$1(82円)。
見た目は良かったが食べてみるとハリがなく、パサパサしていてマズかった。
そういや、アラスカのトークでおいしそうなネクタリンがあったので奮発して買ってみたら、吐き捨てたくなるほどマズかった。
アラスカやカナダでフルーツを買っても金をムダにするだけだ。



アラスカハイウェイに戻る。
フラットは終わり、アップダウンの連続が始まった。

一時期の暑さはだいぶやわらいだ。
ここ最近は日中20℃前後。
雨はしばらく降っておらず、安定している。

日も短くなった。
日の出は5時、日没は23時。
夜はそこそこ暗い。

オオカミと遭遇!


イヌとオオカミの違いは、外見よりも生態の違いの方が大きいのかもしれない。
外見の違いを言葉で説明するのは難しそうだ。
それでも一目見てオオカミだと思わせたのは、決して飼い馴らすことのできない野生の狩猟動物ならではの眼光と佇まいだろうか。


ただ、オオカミは通常群れで行動する。
こいつは一匹狼?


地元民でもめったに見ることがないというオオカミ。
初めての遭遇でバチッと目が合ったのはうれしかった。
そしてやっぱり、自転車に乗りながら野生動物と遭遇するのはこの上なくゾクゾクする。



ブラックベアやムースを目撃するのもめずらしくないが、写真が全然撮れない。







先住民から水もらった。

北米先住民のイヌイットについてはまだ触れていなかった。
先住民とはいっても、ふつうの服を来てふつうに英語を話す。
モンゴロイドで、我々と似た顔つき。
ユーコンでは人口の4分の1を占める。
ここでは「First Nations」という呼称が正式のようだ。

レクリエーションサイトで1泊、無料。


Continental Divideで1泊、C$10(824円)。

売店で、翌日分の食料も含めて、マフィンやクッキーなどを数点購入。

これでなんと計C$28(2309円)。
キャンプ代が安いのでその分少し多めに買ったら、こんなとんでもない額に。
売り場には値段が書かれていないので、それぞれいくらなのかは不明。
レジに持っていく時はバクチ気分。
これじゃ生きていけませんわ。

ただ、北米ではパン類(パイやケーキやクッキーなどもひっくるめて)は総じておいしい。
ホームメイドはもちろん、スーパーで売っているものも、全体的にハズレなくおいしい。
パン類に関しては日本より北米の方がレベル高い、あとコーヒーも。



地図上には書かれていても、営業していないサービスエリアもある。
Swift RiverやRancheriaは現在閉業中。

採掘場で野宿。


Watson Lake, Yukon, Canada

25020km



2019年7月14日

ホワイトホース

ユーコン準州の州都ホワイトホース。


人口3万1000人。
ユーコンで唯一の人口1万人超の街。

一番端が路駐車、次に自転車レーン、それから車道、と棲み分けしている。


日本の道路づくりもこういう発想を取り入れない限り、永遠にダメなままでしょう。

とにかく腹が減ってしょうがない。
頭の中は食べることばかり。
ウォルマートへ直行。

しかし、ここのウォルマートは品薄。
恋い焦がれていたココナッツクリームパイもなく、ジェリービーンズもなく、米もない。
日用品やアウトドア用品も同様、全体的にさびしいウォルマートで、何も買えなかった。
ガッカリ。

他にも何軒かのスーパーが同じエリアにある。


ウォルマートよりも他のスーパーの方が品ぞろえ豊富だった。

依然として電波はない。
スーパーのWi-Fiでメールチェック。
4人のWARMSHOWERSホストにリクエストを送っていたのだが、返信をくれたのは1人だけ、それも素っ気ないお断りの返信だった。
ガッカリ。

やむをえず、キャンプ場へ。
ざっと調べた限り、キャンプ場は安くてC$27(2236円)、ホステルはC$35(2898円)。

そういえば、一緒に走っていたはずのジェフとはいつの間にやら離れ離れになっていた。
だいたい、自転車で長旅するようなヤツに協調性なんぞなくて当たり前。
一緒に走り続けるなんて土台ムリな話なのだ。
特にジェフは、天然マイペースのB型タイプ。
血液型で例えるのはいいかげん古臭いかもしれないが、やっぱしっくりくるな。

そのジェフと街中で遭遇。
彼はホステルに泊まるつもりだったが満室のため、街中のキャンプ場へ向かうという。
街中のキャンプ場はテント泊専用で、充電ができなさそうだった。
僕はいつもの如く、どうせお金を払うなら一通りそろっているところへ。



「街中のキャンプ場」と日本語で書いて初めて違和感をおぼえたが、北米やオーストラリアやヨーロッパでは、街中にキャンプ場があるのは当たり前のことなのだ。





市街中心から7kmほど離れたHi Country RV Parkで1泊、C$28.35(2348円)。

米だ米だー。


チキン、タマネギ、大根。
「大根」って英語で「radish」だと思ってたけど、そのまま「daikon」で通じるのね。

食っても食っても腹が減る腹が減る腹が減る。
翌日用に買っておいたパンや菓子も全部食い尽くしてしまった。
どうすりゃいいの、この狂おしい空腹感。

このキャンプ場も、柵も塀もない。
特に僕のサイトは端っこで、道路と隣り合わせ。
本当に誰でも気軽に侵入できてしまう。



テントサイトで砂利はやめてほしい、ペグが刺さらん。

このキャンプ場は充電には困らないが、Wi-Fiが1デバイスにつき30分の時間制限。
ケチだなー。
今時どこ行ったって、Wi-Fiに時間制限を設けている国なんてないぞ。
しかも、超スロー。
30分かけて写真を6枚しかアップできなかった。

インターネット後進国、カナダ。
ネットに関してはアフリカよりひどい状況だ。

ただ、ここに連泊する気にはなれなかったので、懲りずにWARMSHOWERSにリクエストを送っていたら、ひとりだけ即答で承諾してくれた人がいた。
ありがたい。

翌日、再び市街中心へ。

キャンプ場のWi-Fiがてんでダメなので、マクドナルドでネット。


マックシェイク(L)、C$5.24(433円)。
ホイップクリームは乗っていない。

それから、またスーパーで買い物。
ホワイトホースを離れるとまたしばらく大型スーパーはないので、可能な限り買い込む。

それから、WARMSHOWERS宅へ。
市街から40km、もはやそこはホワイトホースではない。

また山の中へ。




またすごいところに住んでるのね。


人里離れた一軒家で、ひとりの女性が暮らしている。
どうしてこんな辺鄙なところに住んでいるのか。
すぐ近くに息子や友人が住んでいるので不便もないしさびしくもないと言っていたが、近くに家なんか見えなかった。

そしてどうしてこんな高い生活水準を保てるのか。




風鈴。


誰もが携帯しているベアスプレーをもらった。


カナダでの価格は確認していないが、アラスカではUS$35~40。
高すぎるので僕は買わないでいた。
すると「君の命はいくらなんだい?」とおこられたりする。

でも、このベアスプレーの効果にも僕は懐疑的だ。
よほど限られた条件でしか使えないと思うし、実際クマに向かってスプレーしたことがあるという人に会ったことがない。
持っていれば安心というだけのお守りのようなものだと思う。

後日、野宿中にテストしてみたら、想像以上に強烈。
もちろん風上から風下に向かってスプレーしたが、それでもちょっと吸い込んだだけで喉が焼けるように痛み、しばらく咳き込んだ。
クマを撃退できたとしても、自分も相当なダメージを負うだろう。


Carcross, Yukon, Canada

24589km



2019年7月10日

アラスカハイウェイ 2

カナダ最初の街ビーバークリークのキャンプ場で1泊、C$15(1244円)。
キャンプ代がぐっと下がったのでホッとする。

しかしスーパーはなく、売店の食料の割高感はアラスカと大差ない。
商品に値段が書かれておらず、レシートももらえなかったので、個々の商品がいくらしたのかわからないが、ちょっとした食料の購入でも本当に愕然とするほど、あっという間にお金が減っていく。

トークを離れてから、電波をまったく受信しなくなった。
AT&TのSIMはアメリカ国内だけでなくカナダとメキシコでも使えると聞いていたのだが、電波そのものがないので何もできない。

キャンプ場のWi-Fiは、テントサイト利用者には使わせないという。
ケチだなー。
目の前にビジターセンターがあり、そこでフリーWi-Fiを使えるが、恐ろしくスロー。
ここではブログ更新は断念。



カナダ。
日本の26倍、世界第2位の広大な国土。
人口は3700万人、人口密度は日本の約100分の1で世界第8位の希薄さ。
開発されているのは国土の3分の1以下で、人口の80%が南部のアメリカ国境から200km圏内に居住している。
中部から北部にかけてはタイガ(針葉樹林帯)、ツンドラ(永久凍土)が広がる。
湖の個数は300万以上で世界第1位。
アメリカと接する五大湖は総面積がイギリスとほぼ同じ、スペリオル湖単独でも淡水湖の面積としては世界第1位。
資源にも恵まれており、原油埋蔵量は世界第3位、鉱物資源の豊富さも世界有数。
少ない人口ながらも、GDPは世界第10位。

16世紀にフランスが入植し、東部にケベックを設立。
17世紀からイギリスが進出し、18世紀に英vs仏で北米における植民戦争が起こり、結果大部分がイギリス領となった。
19世紀にアメリカで南北戦争が勃発すると、アメリカに併合されることを懸念したイギリスの植民地が連邦を結成し、カナダとなった。
1931年独立。

公用語は英語とフランス語。
フランス語を主要言語としているのはケベック州のみ。

10の州と3つの準州から構成される。
ここユーコン準州は、日本の1.3倍の面積がありながら人口たった4万人。
人口が1000人以上の街は3つしかない。



アラスカハイウェイはいつもどこかしら工事している。
自転車での通行が許可されない箇所もあり、トラックに乗せられる。


13年前も状況は同じで、工事区間でこんな風にトラックに乗せられた記憶がある。
でも当時はもっと長い距離の未舗装区間があった(ハイウェイのくせに)。
面積に対して人口が少なすぎるから維持するのは大変だろうが、改善されているようだ。



グリズリーらしき親子を見た。
あまりに遠すぎたので確証はないが、色はあの薄茶色だった。



野宿は、やはり虫との戦い、いつまでも強い日差し、そしてクマの恐怖。




北米の西側は全般的に山岳地帯。
太平洋から来る湿った空気が山にぶつかって雲を形成するため、今後も曇天雨天になりがちと思われる。



山岳地帯でも、この辺は限りなくフラットで、しかも追い風、快調。



デストラクションベイという街(?)のキャンプ場で泊まるつもりだったが、最近グリズリーが出たそうで、閉鎖中。
モーテルもあるが、最安の部屋でC$110(9124円)。

さらに26km進んだところのキャンプ場で1泊、C$25(2073円)。


依然として電波はない。
もしかして、端末がカナダの電波に対応していない?

キャンプ場のWi-Fiはページを開くので精一杯で、アップロードやダウンロードは無理。
ここでもブログ更新は断念。
人口希薄地帯とはいえ、カナダのネット環境がここまで遅れているとは。



アラスカでもカナダでも、気さくに話しかけてくれる人が多い。
RVで旅する夫婦が路上で何度も僕を見かけたそうで、菓子を差し入れてくれた。


クマ対策のため、このキャンプ場にはゴミ箱がなく、ゴミは持ち帰ることになっている。
GSやレストランやモーテルも一緒に営業しているならまだしも、キャンプ場一本で商売している人にとっては、クマの出現は死活問題。



クルエーン湖。


夕方。


朝。








路上で僕と鉢合わせして一瞬フリーズするヤギ親子。


逃げろー。


逃げろー。


あっという間に急な岩壁を難なく登っていく。


勝ち誇る。




この辺りは、ハエやアブがすごい。
登り坂でスピードが落ちると、追い風に乗ったハエやアブがつきまとってうっとうしい。
ちょっとオーストラリアを彷彿させる。
下り坂で一気に突き放し、登り坂でまたつきまとわれる。



ヘインズジャンクション。


カナダもアメリカもアングロ・サクソンによってつくられた国だが、プロテスタントが多数派のアメリカに対して、カナダはカトリックが多数派。


アラスカのWARMSHOWERSでお世話になった教会の人たち、進化論を全否定していたあの保守的な人たちは典型的なWASP(White Anglo-Saxon Protestant)だろうか。
もちろんカナダにもプロテスタントは少なからずいるが、頑なな聖書至上主義はアメリカほど感じられない気がする。

ホステルの敷地内でテント泊、C$15(1244円)。


オーナーは気さくで親切、話しやすい人。
裏庭のスペースにテントを張ったが、壁も柵も何もないので誰でも勝手に侵入できてしまう。
建物のドアも常時開いており、夜中でも自由に出入りできる。



アラスカからカナダにかけてのこの治安の良さは世界でも有数だと思う。
もちろん都市部はまた別だと思うが。



テント泊者でも、ホステルの設備は自由に利用できる。



すばらしい。


これは連泊するしかない。

Wi-Fiも良好、ようやくまともにネットできる。

フルキッチンの宿は久しぶり。


フリーコーヒーもあり、調味料もそろっていてテンション上がる。
思う存分メシをつくりたいところだが、売店に毛が生えた程度の小さな店しかなく、食料を買い込むと金がすっ飛んでいく。

物価の高い白人文化圏で腹を膨らますのに食パンは欠かせないが、これがC$4.95(410円)もする。


たまには牛乳も飲みたいが、1LでC$3.45(286円)、ちょっと手が出ない。
炭酸は2LでC$4.25(352円)、これは高くてもガマンできないので買ってしまう。

こんな粗食でも、一食でいくらかかってるか、計算するのも怖い。


食材さえ安く入手できれば、1週間ぐらいここでのんびりすごしたかった。

ここからホワイトホースまで2日間、このホステルで出会ったオーストラリア人サイクリストのジェフと一緒に行くことになった。
陽気でおしゃべりでマイペースな57歳のおじさん。

ヘインズジャンクションから80kmほど進み、レストランの敷地でテントを張らせてもらった。
その後4人のサイクリストが来て、やはりここにテント泊していった。
サイクリスト多いな。



野生馬。








通りすがりのドライバーが止まってドリンクを差し入れてくれた。



Whitehorse, Yukon, Canada

24297km