2020年3月27日

メキシコシティ 3

また戻ってくるとは思ってなかったよ。


現在メキシコは、空路で入国可能で特に制限もなく、旅人にとって唯一の安住の地かもしれない。
他のほとんどの国は入国制限あるいは全面禁止となっている。
入国できたとしても宿泊施設閉鎖や外出禁止令等で旅行どころではないし、そこからどこかへ飛ぶにしてもメキシコシティ空港ほど便宜は良くないだろう。
メキシコの滞在許可は180日、おまけに今は円高ペソ安。
しばしここに停泊する。

たまたま写ったコロナビールのトラック。


お隣のアメリカは世界一の感染国となった。

Coronavirus COVID-19 Global Cases

メキシコからの不法移民をブロックする国境の壁が、今やアメリカからの感染者をブロックする壁となっている。



メキシコの感染者数は、人口1億人超の国としては少ない。
日本とほぼ同数の人口で、現在感染者数475人、死者6人。
しかし、つい10日ほど前は感染者数82人、死者0人だったことを考えると、急激に増加している。
僕のように他国から空路でやって来た者が持ち込んでいるのだろう。

人口大国であるインドやパキスタンやバングラデシュも、感染者数は非常に少ない。
これらは中国の近所だが、ヒマラヤというブロックがあるためだろう(インドは中国の敵国というのもある)。
ヨーロッパが修羅場となっているのは、シェンゲンによるフリーボーダー(現在は封鎖されているだろうが)と、中国人観光客が多いことが要因と思える。
最悪の地獄絵図となるであろうアフリカがまだおとなしいのは、地中海やサハラ砂漠というブロックがあるためなのか、それとも高額で煩瑣なビザが人の往来を不自由にしてきたのが功を奏しているのか。

ユーラシアからアフリカにかけては、ビザフリーな国か閉鎖的な国か、が命運を分けているようにも見える。
もちろん日本は、島国であること、閉鎖的であることが拡大を防いでいる。

アメリカ大陸での大暴れは時間の問題なのか、それとも早期の陸路封鎖が功を奏するのか。
いろいろイメージはしてみるが、実際どうなるかは誰にもわからない。
最悪のパターンを想定しながらも、見守るしかない。

現在メキシコは、外出者の大半がノーガード、買い占めもパニックも起きておらず、交通機関も機能している。
不自由なく暮らせているのが逆に不気味。



東京では桜が咲いているそうだが、ここではハカランダが花を咲かせている。


ハカランダは、英語読みだとジャカランダ。
南米、アフリカ、オーストラリアなど主に南半球で見られる。
メキシコシティにハカランダを持ち込んだのは日本人だとか。



ギターにも使われる木材だが、それは花を咲かせない別種のハカランダらしい。





チェ・ゲバラとカストロが初めて出会った公園。



また、日本人宿ペンションアミーゴに滞在。



宿が閉鎖されてなくて本当に助かった。
2ヶ月前に来た時にいた、仕事やボクシングで来ていた人たちは皆すでに撤退しており、現在はほぼ旅行者のみ。
皆、他の中南米から逃げてきてここで足止めを食らい、帰国か続行かという二択の中で様子見している。

部屋は豊富にあるがまた同じドミトリー、日によっては僕ひとりで独占。

現在、体重70kg。
西アフリカの時よりはだいぶマシだが、鏡を見ると頬がこけ、腹はペッタンコで肉つまめない。
キューバ入りする前のメキシコでは毎晩自炊で必要な量を食べていたので、けっこう肉ついていた。
2ヶ月前にここにいたアルゼンチン人ギタリストが今もまだここにいて、「ずいぶん痩せたね」と言われた。
「うん、キューバ帰りなんでね。」

日曜日以外は朝食が付く。

なんと言っても、ここにはギターがある。

4本も。

長期滞在覚悟なので、弦を買って張り替え、埃も拭き取った。

180ペソ(841円)って高くない?


市街中心に楽器街がある。

日本でいったら御茶ノ水並み、でも店舗は多くても品は今ひとつ。

おっ、同業者。


仕事でもするか。



1日何ペソもらえるんだろ?


上空なら安全だね。




Mexico City, Mexico



2020年3月24日

ハバナ(キューバ) → メキシコシティ フライト

直行便。
航空会社はAeroméxico。

聞いた話によると、キューバは3月22日以降入国不可(出国は不明)となる。
空港は危惧していたほど混雑していなかったが、通常ではない空気はあった。
空港にいるほとんどの人はキューバ人ではなく、自国へ帰ろうとしている外国人。
欠航や遅延で足止めを食らい、空港泊している人も多いようだ。
幸い、僕の便は予定通りの運航。

到着した時もそうだったが、ハバナ空港はカートが不足している。
空港内を探しまわって、たまたま放置された1台のカートをゲットできた。

余ったキューバペソは自転車と荷物の超過料金でほぼ使い切ったが、わずかに残った。
両替屋で処理しようとしたが、USドルもメキシコペソもなく、あるのはユーロのみ、しかも50ユーロ紙幣しか扱っていないという。
ほんっと、ダメな国だな。
空港の両替屋で、並ばせて待たせておいて何の役にも立たないとは。

キューバ兌換ペソ(CUC)。


キューバ人民ペソ(CUP)。

コインは間違えてCUCを撮ってしまった。
CUPのコインはうまいこと入手できず。


イミグレーションで、また行列。
全然流れない。
出国するだけなのに、何をそんな時間をかけることがあるのか。
コンピューターがフリーズしたのか、ぶっ壊れたのか知らないが、僕が並んでいた列はしばらくストップした後、別のカウンターに移動させられた。
白人旅行者が見るからにイライラしていた。
こんなことで飛行機乗り遅れたらどう責任とるつもりなのかね。
やっぱりもう一度革命起こしてまともな国につくり直した方がいいよ。
僕の番が来て、入国時に買ったツーリストカードを渡して、出国完了。

ちゃんと飛ぶのかどうか最後まで不安だったが、アエロメヒコはちゃんとした航空会社、予定通り飛んだ。
機内で、アメリカから入国した時と同じ保険の紙をもらって記入。
それから、コロナに関するアンケートにも記入。
ここ14日間どこの国にいたか、感染地域から来た人と接触したか、などの質問。
口頭質問よりこの方が時間短縮できる。

メキシコシティ到着。
空港のつくり、規模、利便性はハバナ空港とは雲泥の差。
イミグレーションはスイスイ流れた。
機内でもらった紙を提出し、メキシコに来た目的と滞在期間だけ聞かれて、入国完了。
アメリカから陸路で入国した時は保険でけっこうな額を払ったのだが、今回は無料だった。
自転車も荷物も待つことなくすでに出てきており、何もかもスムーズに、めでたく上陸できた。
今や100以上の国が入国制限している中、オープンにしてくれているメキシコのおかげでなんとか助かった。


Mexico City, Mexico



2020年3月22日

トリニダ

毎日同じことの繰り返し。
街に到着するのも憂鬱でしかない。
どうせまたカサでも「No!」、店で「コーラある?」と聞けば「No!」、と否定され続ける。

進むにつれて、状況はさらに悪化。
宿代の相場が25CUC(2690円)と跳ね上がった。
今までの経験上、料金が上がるほどサービスが悪くなるという傾向がある。
高いカサは、部屋の内装がホテルのように豪華になるだけで、朝食が付かないし、冷蔵庫のコーラが1.5倍の価格だったりする。
内装なんて質素でいいから、身になるサービスをくれ。
しかし本当に不思議、街中で感じる絶望的な物資の欠乏からは想像できない、立派な家具やら装飾品やらはどうやって調達しているのだろう?

一方で、見るからにボロい家屋も多いし、都市部では「金くれ」とか「タバコくれ」とか言われることも多い。
社会主義の理念である「格差のない平等な社会」はやはり実現されていない。

追い風フラットの好条件でも、日に日に力が抜けていく。
走行中は昼食にありつけることはないので、カサで朝食が付かないと、1日の食事は夕食のみとなる。
その唯一の食事も、街中で炎天下を歩きまわってようやく見つけた店がひたすら喉が渇くハンバーガーとかピザとかだったり、うまくいかない時はコーラ1本も見つけられない。
ここは地獄だ。
西アフリカの時と同様、栄養失調待ったなしコース。

飢えと渇きで憔悴しきって街をさまよっている時、女子学生たちが僕を見て「チノー!」「チノー!」と騒ぎ立てる。
「中国人=コロナ」ということか、すれ違う時に僕に近づかないようにわざとらしく大げさに迂回する。
くだらんやつらだ。
やっぱりキューバが教育に力を入れているという話は大ウソだ。

僕も誤解されたくないので、宿に泊まる時は「日本人だけど日本から来たわけじゃないよ」と言う。
すると宿の人は、僕が何を言わんとしているのかをすぐに察して「大丈夫、問題ないよ」と言ってくれる。
浅はかな偏見を持つのは一握りの愚民だけだと思いたい。

高いカサでも、運が良ければ朝食が付く。
ホットミルク、コーヒー、手作りジュース、と3種の飲み物が出る。


ふだんは寝起きにこんな水分摂らないが、キューバ走行はサバイバル。
出されたものはありがたく一滴たりとも残さず胃に流しこみ、1日の苦行に備える。

キューバのコーヒーは濃厚で最高においしい。

エスプレッソのようなキツさはなく、アメリカンのように薄くなく、アラビックのような粉っぽさもない。
砂糖はデフォルトで入っている。
僕はいつもは砂糖とミルクをこれでもかというぐらいドバドバと投下するが、キューバのコーヒーは何も足さずそのまま飲める。

Wi-Fiカードは、ハバナで5枚(5時間分)買っておいたのだが、とっくに使い切ってしまっていた。
正確にはそのうち2枚はほとんど使ってないのに知らぬ間に吸い取られていた。
ハバナではその辺の売人から簡単にカードを買うことをできたが、他の街では入手困難。
どこかしらで売っているはずだが、探しまわってもまた余計に喉が渇くだけなのであきらめて、しばらくオフラインな日々。

トリニダ。

ここもなんか観光地らしい。








どこの街でも配給行列。







サンティアゴデキューバの案内人からもらった安宿情報は、ほとんどが手書きだったので解読できなかったが、トリニダに関してはビジネスカードでもらったので無事たどり着いた。


とても人のいいおばあちゃんの宿。
他に白人旅行者もたくさん泊まっている。

1泊20CUC(2152円)。
夕食10CUC(1076円)、朝食5CUC(538円)。

他の宿は朝食なしで25CUC(2690円)というところもあったから、ここはリーズナブルだと言える。
食事代がやけに高いが、もう節約は忘れよう。
生命維持を第一に考えて、朝夕2食をオーダーした。

ただどこへ行っても、宿泊も食事も5CUC刻みなのが気になる。
ふつうはもっと切れの悪い額になるのが自然なのだが。

冷蔵庫を開けると!


やったー!
今までの冷蔵庫はビール8割コーラ2割ぐらいだったが、ここは半々ぐらい。
よく見たらファンタオレンジ的なものもある、すごい。
価格は標準価格。

一度緊張の糸が切れると、出費は気にせずガブガブと飲み続け、止まらない。
もうどうにでもなれ。

Wi-Fiカードも、ここのおばあちゃんから買うことができた。
宿のWi-Fiに接続するのは怖いので、街の中心広場まで行ってネットをやった。

夕食。

トマトはいつも輪切りなのね。

朝食。

だんだんパワー復活してきた。
満たすべきものが満たされると、機嫌も良くなってくる。
ブログの攻撃的口調も和らいでくる。

カサで朝食が付くかどうかがすごく重要。
料金に関わらず朝食が付かないカサはできるだけ避けた方がいい。

出発する時、次に泊まる街のカサのビジネスカードをもらえることが多い。
こういう紹介制はとてもいい。
自分でぶっつけで見つけるカサよりも、紹介でつながるカサの方がハズレがない。





大まかに、キューバの東側は1泊20CUC(2152円)、朝食は込みのところが多いが別料金の場合は3CUC(322円)。
西側は1泊25CUC(2690円)、朝食は別料金のところが多く5CUC(538円)、が相場のようだ。
Wi-Fiカードは、西側では街の売人や宿でも入手できることが多い。


バラデロとかいうビーチリゾート。



ここもカサでことごとく断られ続けた。
ようやく見つけたが、やはりビーチリゾート価格、朝食別料金で1泊30CUC(3228円)。
しかも冷蔵庫にコーラなし。

灼熱のビーチリゾート、コーラを求めてさまよう。
Tシャツやよくわからん土産物を売っている店があると、「アホか!」と叫びたくなる。
生命を維持するのに必要なものを売ってくれよ。
チェ・ゲバラのTシャツなんて世界中で売ってるわ。

ようやく飲み物を売ってそうな店を見つけると、水とビールしかないと言う。
ほんっと、最悪。
僕がこの世で最も必要としない飲み物、それは水とビール。
水とビール以外の飲み物を売ってくれ。

ああ、渇く、、、干からびる、、、

さらにさまよって、ようやくコーラ発見。
いつもこの瞬間、これで一晩乗り越えられる、とホッとする。

翌朝。
カサのおばちゃんから、「キューバも数日内に飛行機キャンセルで封鎖される、ってニュースでやってたわよ」と聞いた。
なんと、、、それは由々しき事態。
おばちゃんの話は正確なところはわからず、ここはネットもつながらないので事実確認できない。
瞬時にいろんなことが頭をよぎった。
他の国ならともかく、キューバに閉じ込められるのだけは勘弁。
急いだ方がいい。

バラデロからハバナまで140km、2日かけて行くつもりだったが、ダッシュで1日で行こう。

途中の街の広場でWi-Fi接続し、メキシコシティへのチケットを確保。
すでに中南米の大半の国が続々と入国制限、国境封鎖している。
とりあえず経過を見守るため停泊するなら最適なのはメキシコシティ、と判断。

すばらしい追い風に助けられた。
朝遅くに出発したが、好調にガンガン進む。








ハバナに到着。
閉まっている店が多く、閑散としている。
とうとうここにも波が押し寄せてきたことを実感。

入国直後に泊まったカサシオマラに戻った。
おばちゃんは僕のことをおぼえていてくれた。
しかし、この宿も閉鎖だという。
この時点で宿泊禁止となっていたが、知った顔だし1泊だけということで、泊めさせてもらった。

今日、メキシコシティに飛ぶ。
チケットはとれたものの、果たして万事うまくいくのか、どうなるかわからない。
メキシコは入国できるはずだが保証はないし、宿が閉鎖されていたらどうするか。
ちょっとドキドキしてる。



La Habana, Cuba

40539km