2019年5月30日

リベリア 2

どうしてどうして、リベリアも海沿いに道をつくってくれればそのまま次のコートジボワールに行けるというのに、道がない。
いったん内陸に入り、ギニアに再入国しなければならない。
リベリアからコートジボワールに入国できるルートもいくつかあるのだが、時々国境が閉鎖されるようなので、遠回りでもより確実なギニア経由ルートで行く。
ギニアのマルチビザを取得したのはこのためだ。

首都中心から20kmほど進んだところで、マーケットエリアに突入。
幹線道路がマーケットのカオスによって行く手を阻まれている。
そのまま進めない状況だったので、迂回することになった。



迂回ルートでマーケット内に入り込むと、そこは最悪最醜のはきだめだった。
路面はドロドロのグチャグチャでヘドロのようになり、ゴミの山をすり抜け、その両側で野菜や果物などが売られている。

まもなく渋滞。
前方の様子をうかがうと、ケンカしている。
そのケンカと野次馬のせいで、車もバイクも身動きできず膠着状態。
当事者たちはそんなことなどお構いなしに怒鳴りあっている。
いくら待ってもおさまらないようなので、狭い歩道に移って強引に進んだ。

メインロードに戻るため路地を曲がると、ちょっとした登り坂になっており、上方からドブが流れてくる。
坂の途中でハイエースがスタックし、数人がドブ川の中で必死に押している。
横の壁の向こうで誰かが汚水を捨てたのか、壁の穴から緑色の液体が吹き出す。

このはきだめを記録におさめたかったが、ここでカメラを構えたら僕は袋叩きにされていただろう。
そんな空気を感じた。
四方から「チャイニーマン!」「チンチョン!」という声が飛び交う。
ずっと監視されている。
それに、この状況を切り抜けるのに精一杯で、カメラを構える余裕もなかった。

もう少しでメインロードというところで、ひとりの男が満面の笑顔で僕に近づき、「醜いだろ? これがアフリカだ! ハハハ!」と高らかに笑った。
僕はこの言葉に救われた気がした。
美しい醜い、正しい悪い、それよりも大事なのは強いハートだ。
これぐらいは笑って吹き飛ばすぐらいでないとな。



はきだめマーケットを抜ければ、道路舗装は完璧。


真新しく、損傷はほとんどない。
でもメンテナンスはしないだろうから、朽ち果てるのも早いだろうな。

リベリア人の子供も、遠方から囃し立てるだけで近づいてこない。
ここでは僕は「チャイニーマン」と呼ばれる。
今まで一貫して「白人」がメインだったのに、ここに来て「中国人」か。

リベリアではアジア人はほとんど見ていないが、この道路をつくったのが中国人で、人々は工事の指揮をとる中国人を見てそう呼ぶようになったのかな。
そして中国人にとっても、あのはきだめマーケットだけはアンタッチャブルだったのかな。

「チャイニーマン!」
「チャイニーマン!」

チェーンリング、やっぱ崩壊した。


これから山道が続くというのに、インナーが使えなくなった。

崩壊したチェーンリングの取り外し作業をしている間も、子供たちが湧いてきて無言で見つめる。
だから君たちは来なくていいんだよ。
家で宿題でもやってろ。







小さな村の宿で1泊。
US$25。
ここはソーラーで発電しているようで、時間制限なく電気が使える。
近くに店もないが、庭に井戸があるので水をたっぷりいただき、「食事はいる?」と聞かれ無料で食事を出してくれた。



ありがたや。

息子たちが勝手に部屋に入ってきて遊ぶ。


スマホのメモ帳の落書き機能に夢中になっていた。


翌日は午前中から雨。
レインウエアを着ずに濡れたまま走り続けたが、小一時間で冷えた。
いくら熱帯でも雨に打たれっぱなしはよくない。
そんなことは今まで何度も経験してわかっているはずなのに、またやってしまう。

ちょうどいい小屋があったので、着替えて身体を拭き、コーヒーをわかした。


リベリアドル。


右上の2枚は旧紙幣。
すごいヴィンテージ感。




Danane, Côte d'Ivoire



2 件のコメント:

  1. 普通町に着けば腹ごしらえして一息つける安心感がありますがここではそうでもないようですね。
    舗装された道と青空が美しい。
    アフリカで幾多の国を駆け巡られてますがセネガル以降でしょうか、汚ねー、高けー、そして今日追加のうるせーしか印象に残っていません。
    今まで国が変わるごとにそれなりにお国柄、国民性が現れていたような気がします。
    ブログを読んでいるとここ数カ国はほとんどそんな気がしないのですが、実感としてはいかがでしょうか?

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    1. まさしく。
      以前の投稿でも何度か書きましたが、西アフリカを旅する理由が自分でもよくわかっていない。
      行ったことがないから来てみた、ぐらいの動機で。
      今まで自分がその土地を走ることに疑問を抱いたことなんてなく、こんな感覚初めてです。

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