2019年6月25日

パークスハイウェイ

ふもとの街に戻る。
とにかく腹が減ってしょうがない。
頭の中はメシのことしかない。
物価が高かろうが何でもいいからスーパーで食料を買い込む。

またウィリアムの家で一晩やっかいになる。

向かう途中、サイクリストと遭遇。


スイス人のこの夫婦は、2010年から自転車旅を始め、以来スイスに帰国したのは4ヶ月だけ、ほぼ9年間旅しっぱなし。
そして旅の途中で2人の子供を出産。
6歳と1歳の娘は生まれてからずっと、両親の背中と世界の風景を見ながら旅をしている。

旦那さんは写真家で、奥さんはライター。
その収入で旅を持続させている。
日本のモンベルもかれらのスポンサーで、2019年モンベルチャレンジアワードを受賞している。

https://about.montbell.jp/social/challenge/award/

かれらの衣類や身の回りの物がモンベルだらけだったのが面白かった。

アラスカの前は日本を沖縄から北海道まで旅しており、もしかしたら見かけたという人もいるかもしれない。
長女のナイラちゃんは母国語のフランス語に加えて英語も理解し、日本語であいさつができて、日本語で1から10まで数えることもできる。

家族4人分の荷物+自転車の総重量は200kgになるという。
僕が今まで出会ったサイクリストの中で最大だ。
飛行機乗る時どうすんだ?

こんなバイタリティを見せられると、自分はなんともちっぽけに思えてしまう。
元気をもらった。

かれらもウィリアムの家に泊まるというので一緒に。

ウィリアムはやさしくおおらかなヤツで、決して大きいとはいえない家(といってももし日本でこんな家が所有できるなら僕は欲しい)で、家族4人と僕が寝るスペースをうまいこと割り当ててくれた。

夕食は、かれらがつくったパスタを少し、いやけっこうたくさん、分けてもらった。


料理の腕もあり、すごくおいしかった。
日本から持ってきたふりかけもあり、パスタにちょっとかけたらさらにおいしくなった。
この街では食材が入手しにくいが、ふだんは野菜をふんだんに使い、メニューも毎日変えているという。
子供の成長を考えたら、食事もおろそかにはできない。

僕もアウトドア生活をしているが、アウトドアの道具の知識や技術はたいしてない。
こういう人たちから教わることは多い。

育児しながら旅をする。
ふつうはムリだよね、っていうことをやってのけてしまう人たちがいる。
育児経験のない僕でも、想像すると次々に疑問が湧いてくる。
ふだんは旅人交流に積極的ではない僕も、かれらには質問攻めしてしまった。

長女はもう6歳、「学校に行く年齢でしょ?」と奥さんに聞いたら、
「私たちが学校よ」と胸を張って答えた。
これはかなわない。

かれらとは方向が同じなので、またどこかで会えたらいいな。



デナリを発ったとたん、晴れやがった。



デナリのふもとの街から16kmほど北のヒーリーという街に大きなスーパーがあり、そこで通常の物価で食料が買える。

ネナナのキャンプ場で1泊、US$15。
20ドルだと思ってたのが15ドルだったので、その分アイスとかジュースを買ってしまう。
ここはいいキャンプ場だった。
しかし、暑いぐらい天気が良くてたくさん洗濯して干していたのに、夜から強い雨。

しばらくして雨はやみ、この写真を撮ったのは深夜0時。


ネナナからフェアバンクスまではアップダウンの連続。



マラリアは完治したが、栄養不足による疲れやすさはまだある。
国立公園の峠道とこの日のアップダウンで、情けないことにちょっと足がダルい。
できればフェアバンクスでゆっくり休養をとりたい。


Fairbanks, Alaska, USA



4 件のコメント:

  1. 数年前こちらのご家族と奈良と大阪の県境ですれ違ったことがあるかもしれません。
    連結したリヤカーに乗っていたチビちゃんが印象的でした。
    しかしアラスカ前だから別人かも。
    両親の全人格に責任かけていないと自分が学校だとは言えませんね。

    山の天気に翻弄されながらも思いを募らせていた山と再会できて良かったですね。
    風景と動物が麗しくて心が洗われます。
    蚊には悩まされなかったのですか?

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    1. 本文には正確な書き方をしませんでしたが、1回ではなく数回に分けて計1年ほど日本を旅したらしいので、数年前に日本にいた可能性もありです。
      京都のサクラがきれいだったと言っていたので、奈良大阪にいたのもその季節だったのではないでしょうか。

      夫婦は僕に対してわかりやすい英語で、常に肯定的な姿勢をもって接してくれました。
      話をしている間にも子供たちはいたずらしたり目が離せませんが、大変そうなそぶりも見せず、僕に対して細かい気配りと礼儀を示してくれて、この人たちだったらやっていけるのだろうという信頼感がありました。

      蚊はどこへ行っても壮絶ですよ。
      虫除けスプレーを切らしたら死亡です。

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  2. スイス人家族の圧倒的バイタリティに感嘆したよ・・・・
    ryoの行動力とバイタリティに驚いているのにね。

    学校の勉強ってなんだろう・・・と思ってしまう一コマだね。

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    1. スイスの事情は知らないけど、義務教育だからといって一律に学校に行かせることが必ずしも正解だとは思えない。
      教育はもっと多様であってもいいと思う。
      この子たちがどんな大人になるのか、幼少期にこんな育ち方をしたことは大人になってからもこの子たちのアイデンティティとなるに違いないと思う。

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