2020年4月5日

メキシコシティ 4

3月30日にメキシコで非常事態宣言が出された直後は特に変化はなかったが、ここ2日ほどで屋台がバタバタと閉まり、ホテルも閉鎖、市街中心の歩行者天国や公園も閉鎖されるようになった。
メキシコもジワジワときている。

10人ほどいたペンションアミーゴの宿泊客も日に日に帰国していき、おそらく来週には3~4人しか残っていないだろう。
帰国しても、直後は検疫やら隔離やらで大変そうだ。
仕事も厳しい状況だろうし、制限ある生活を強いられるだろう。
便数も減るだろうし、帰国するならギリ今か、しばらく待ってほとぼりが冷めてからか、というところ。
残るにしても、ペンションアミーゴも閉鎖されてしまったらピンチだ。

長いこと日本を離れていると日本のこと何も知らないと思われがちだが、ネット環境さえあれば日本のニュースはチェックできている。
オリンピック延期も知ってるし、志村けんが死んだのも知ってる。
ニュースに現れないような生活の変化等ならぜひ教えていただきたいと思う。

現在、メキシコは感染者1688人、死者60人。
お隣アメリカの爆発的感染と比べたらかわいいもんだが、着々と増加している。



やはりアメリカとヨーロッパの拡大が尋常じゃない。
カナダやオーストラリアなど人口が少ない国も、人口に対する割合で見ると感染者数は非常に多い。
対して、インドやアフリカなどは、人口過密な上に衛生観念や法令遵守などハナクソほどもなさそうにもかかわらず、爆発的感染は起きていない。
日本は感染者3139人、死者77人、と先進諸国の中では被害を抑えられている。

こう言うと検査数が違うからという反論が挙がるが、そもそも全国民を検査するのは不可能、どこの国も本当の感染者数を把握することはできない。
でも死者数なら比較的正確に出ている。

各国100万人あたりの死者数。


Total confirmed deaths

SNSを見ていると、「今の日本は2週間前のニューヨークと同じだ、日本政府はすぐにロックダウンすべき」というニューヨーク在住者による投稿がいくつも飛び交っている。
そうかもしれない、でも日本にウイルスが入ったのは欧米より先の1月中旬で、それなりに日数が経過しているし、それに日本の人口密度はアメリカの10倍、にもかかわらず日本でまだ爆発的感染が起きていないのはどういった差異だろう?
どの国も同じ道をたどるとは限らない。
短期間で爆発的感染が起きているのは白人圏、という共通項。
ウイルスは人を選ばないとも聞くが、この偏りからするとウイルスは人を選んでいるように見える、つまり人種によって免疫力が異なる?
それとも都市の構造とか気象条件とか?

各国の死者数の増加率。

Total coronavirus deaths

不謹慎だが、コロナ騒動は実に興味深い。
潜在的な諸問題が次々に暴かれていくから。

震災の教訓から学ぼうとせず、我先にと買い占める人たち。
不安を煽られると自分本位な本性がむき出しにされる。

人種を見ただけで感染者だと決めつける人たち。
レイシズムは誰もが内に秘めている、ふだんそれをコントロールできているかどうかの違いだけだ。
黒人しかいないアフリカの農村で日々「白! 白! 白!」と呼ばれ続けたことを思い出す。
かれらの方がよっぽどストレートで健全だ。
差別だ差別だと非難する前に、これが人間の本性なのだということをしっかり認めて、そこから出発しよう。

アメリカとメキシコの立場逆転もおもしろい。
今やメキシコ人の方が国境の壁の建設を望んでいる。

それから、自然環境の復活。

大気汚染や温室効果ガスが激減 新型ウイルス拡大で人の移動など減り

ロックダウンされて人が消えた都市を野生動物が支配している光景が世界各地で目撃される

やはり、人類こそがウイルスでコロナがワクチンだったか。

GDPトップクラスの国が軒並みやられている。
経済の世界規模での影響は計り知れない。
今まで世界を牛耳っていた欧米+中国がウイルスにつぶされて、感染を免れたインドやアフリカの時代がやって来る、そんな未来もありえなくはない。
特にインドは、いつの間にやらGDP世界7位、コロナの影響を抜きにしても2030年には日本を抜いて世界3位の経済大国となる見込み、人口も間もなく中国を凌駕する。

パンデミック後は、人間の生活は変容を余儀なくされるのはもちろん、価値観の転覆、立場逆転、今はまだ予測できない変革も多々起きるだろう。
旅の再開がいつになるのかはわからないが、旅のあり方も今までのようにはいかなくなるだろう。
いっそ世界に蔓延しきって、ウイルスありきの前提で旅ができるようになる、そんなイメージをしている。


Mexico City, Mexico



12 件のコメント:

  1. しばらく更新されていなかったので、気になっていました。
    元気そうで何よりです。
    人類が、ウィルスですね!
    詳しく書いて頂き、ありがとう!

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    1. やることなく変化も少ない日々、今後も更新頻度は落ちそうです。
      元気ですが、引きこもって運動不足、この先食料も不足していくでしょう。
      世界中の人々が、感染はしなくても心身がどこまでもつのか、根比べですね。

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  2. ネット情報以外に目新しい情報はないな。
    今日にでも非常事態宣言がされるとか。でも外出の規制はしないし、ロックダウンもしないそうだ。
    意味あるのかな・・・

    先週インドから帰国した知り合いは、2週間自宅待機を言い渡された。
    今のところ発症もしていない様子。
    不思議と身の回りには陽性反応者はいないが、感染者にも感染源にもならないように
    回りに踊らされることなく冷静な判断をしていきたい。
    学校は、市町村単位で若干の総意はあるが4月12日まで休校のところが多数。

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    1. メキシコも同様、非常事態宣言が出されてもあくまで自粛であって命令じゃない。
      国によって都市構造も違うし、東京でロックダウンなんて現実的にムリなんじゃない?

      今はどこの国からだろうと、入国者の2週間隔離は当然だろうね。
      感染者は増加しているけど、日本の人口、東京の人口の多さを考えたら自分や身の回りの人が感染している確率はとても低い、でも油断したらあっという間に欧米のようになる。
      メキシコ人は日本人ほど自制がきくとは思えないからメキシコの方が危うい。

      学校もしばらくは登校できないでしょう。
      オンライン授業やらないの?

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  3. 感染者数は日本でも公表値より遥かに多いと思います。
    しかし死者、重篤者数も格段に低いのは院内感染がまだそれほど起きてないからと思います。
    コロナ感染を疑って病院に血相変えて押し寄せる人が多いのかと思いきや、地元の総合病院の外来は普段より少ないそうです。
    病院は病気を治す場所ですが病巣でもあるから敬遠しているのでしょう。

    国により死者数に大きく隔たりがあるのはやはり人種に因果関係があるのでは、と勘ぐりたくなります。
    もちろん当人の年齢、健康状態の影響のほうが大きいでしょうが。
    アメリカでもニューオリンズは肥満率、多臓器不全率が高いのでNYより死亡率が高いそうです。(ロイター通信)

    差別は社会全体(と言わずとも多数)の現象だと思っています。
    人種を見ただけでヘイト、暴力を振るう輩のニュースを見ましたがそれが社会全体に蔓延しているわけではないと思います。
    平時はデモ、暴動を起こしてブー垂れてる市民がこの有事には一斉に自宅待機に従う人の深淵とは不思議なものです。

    私め生来チェルノブイリ、リーマンショック、東日本大震災と世界的破滅局面を3つほど経験しましたがどういうことか健在です。
    良くも悪くも今回もどうにかなるやろ、と鷹揚に構えています。
    何か観念的な話ばかりでご容赦を。

    このまま行くと今回はレー?の一箇所最長滞在記録を更新しそうですね。

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    1. 昨日、メキシコの死者数が日本を超えました。
      メキシコにウイルスが入ったのは2月末、増加率はこちらの方がはるかに高いです。

      要因として肥満率と高齢率も調べました。

      ↓各国の肥満率が一目でわかるマップもあります。
      http://top10.sakura.ne.jp/WHO-WHOSIS-000010R.html
      メキシコの肥満率がアメリカより高いのは驚きです。
      ヨーロッパは意外に低いんですね。

      ↓各国の65歳人口割合
      https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%AB%98%E9%BD%A2%E5%8C%96%E7%A4%BE%E4%BC%9A#/media/%E3%83%95%E3%82%A1%E3%82%A4%E3%83%AB:Percentage_of_Population_Above_65_-_2005.png
      爆発的感染を起こしている国との一致が見られますが、やはり日本は例外的です。

      世界的破滅局面は今回が最大でしょう。
      感染を免れて生き抜いても、その後迫りくる経済の壊滅は今までの比ではないはずです。






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    2. 最近BCG摂取国は獲得免疫があるので感染リスクが低いと話題を集めています。
      摂取国ポルトガルと非摂取国スペインとの感染率の差が歴然だと。
      日本も摂取国なので感染者が少ないのではと言われています。

      どの国も景気対策という名の体制維持のため市場になりふり構わぬお金を注入するんじゃないでしょうか。
      我々にとってはそれこそ手の届かない上空でお金が飛び交うだけで特に恩恵はないと思います。
      私は共産主義者ではありませんがマルクスが、資本家は恐慌克服のため更なる恐慌の準備をする。資本主義は(地球環境も含めて)自己破壊的だ。と喝破したのは本当だと思います。

      宿に言葉を交わせる日本人はいますか?
      移動もままならなくじっとしていては実に気が滅入るのでは。
      今思うことは旅路かそれとも人類のその先でしょうか。

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    3. BCG有効説は統一的に説明できる唯一の仮説かもしれませんが、現時点で医学的な見解としては、根拠認められず、推奨もできず。
      オーストラリアが臨床実験を始めたそうで、これに関しては結果を待つしかないですね。
      僕の今回の投稿もただの推測想像にすぎません、科学的な立証で納得したいものです。

      日本に身を置いていないのでわかりませんが、ネットの投稿を見ていると、かねてからあった対立(右と左、男と女、老と若、等)がコロナをネタにさらに加熱して負の感情をぶつけ合い、日本がバラバラに分裂していくようです。
      つくづく今回のウイルスは、ホコリたたきですね。
      今後の壊滅とどう向き合い立て直していくか、これからが正念場だと思います。

      宿に残っている人は少ないですが、若者から年配者、ビギナーからベテランまでおり、それぞれ違った思いを抱えています。
      メキシコ滞在許可日数ギリギリまでここにいたとしても、旅の続行は悲観的となってきました。
      まあまともに考えたら帰国が妥当ですが、幸い時間だけはあるので、もう少し考えてから身の振り方を決めたいと思います。

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  4. 出発から静かに見守っていましたが、流石に声を掛けない訳にもいかず。
    元気そうで何よりなのは間違いないんですが、なんだろう、上手く言えないな…

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    1. ほんまさん?
      僕が思い浮かべているほんまさんと別の方だったらごめんなさい。
      いろいろ考えてますよ。
      まっとうに思考したら帰国が妥当です。
      早期帰国の決断をしなかったために後で痛い目にあう可能性も十分あります。
      でも日本でこのコロナ禍を経験するより、あくまで旅先での経験として経過を見ていたい、というしぶとい自分がまだいます。
      然るべき時が来たら然るべき決断をします。

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    2. その'ほんま'で大体あってます。
      そしてそのしぶとさ、個人的には捨てないで欲しいなとも思います。貴重な経験に貴重な経験が重なるって本当に貴重なこと。
      戻ってこいとも言わないし、戻ってくんなとも言わないし。然るべき時に考えましょうよ。

      それと、みんな元気です。ご心配なく。

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    3. そのほんまさんで大体あってますか。
      メキシコは他国に比べてだいぶ恵まれて良い状況なのが幸いですが、ちょっとした事態の変化や気分の変化でどうなるかわかりません、不確定な日々です。
      皆さん元気と聞いて安心しました。

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