引き続きアップダウンの山道。
雨+急坂でブレーキシューがみるみる擦り減っていく。
湾に出た。
天気悪いので写真はあまり撮っていない。
バンクーバーに到着。
トロント、モントリオールに次ぐカナダ第3の都市。
ここはもう別の惑星。
今までのカナダ的なゆったりとした空気はもはやない。
自分本位で安易にクラクションを鳴らすアホドライバーも少なくない。
上っ面は立派でも、一発のクラクションで人間の醜悪さが露出する。
国土の広さと人口が釣り合っていないカナダでは、多くの労働力を人口過多のアジアから取り寄せており、都市部ではアジア系の割合が非常に高い。
バンクーバーは、ほぼ中国といっても過言ではない。
あちこちの看板に漢字が多く目立つ。
といっても、バンクーバーにいる中国系は香港人が多く、「ホンクーバー」という異名すらある。
1997年香港返還前後が移住のピークだったようだ。
当時、香港が中国になってしまうのかとパニックになり、国外へ移住する香港人が続出した。
現在の中国vs香港のバトル激化でまた変動が生じるのだろうか。
キクチさん情報によると、キャンプ場はC$56(4570円)、ホステルはC$70(5713円)。
バックパッカーが寄り付かないわけだ。
WARMSHOWERSは、断られまくったが粘ってリクエストを送り、なんとか一人承諾してくれた人がいた。
キクチさんはちょっと前からバンクーバーに滞在しており、この時は空港泊していた。
せっかくなのでキクチさんも一緒に民泊しませんかと誘った。
ホストにメールして、1名追加してもいいすかと聞いたら快くOKしてくれた。
ホスト宅の住所をGoogle Mapsに入力したら、リッチモンドという、ダウンタウンからさほど離れていない地区が出てきた。
キクチさんとそこで待ち合わせて向かったのだが、しかしホスト宅はそこにはなく、まったく別の地区の同じストリート名であることが判明。
雨が降り、日も暮れかけていたが、リッチモンドから19km東のホスト宅へ向かった。
若干あせってルート検索して走行開始したせいか、気づくと我々は高速を走っていた。
一体僕は何度この過ちを犯せば気がすむのだろう。
ヨーロッパでも北米でも、ふつうに道路があって、ふつうに信号を曲がったら、その先は高速になっていたりする。
「ここは高速です」とか「自転車歩行者通行禁止」といった標識はない。
やけに分岐と合流がおっかないな、やけに道路標識がデカイな、ひょっとしてここは、、、とようやく気づく。
すぐに降りて一般道を探す。
目的地までスムーズに行けるルートは高速になっているので、一般道は遠回りで複雑。
何度も立ち止まって、雨の中スマホを取り出してマップチェックをする。
すっかり暗闇となり、雨に打たれながら、無料の宿のために必死でこぎ、なんとか無事たどり着いた。
サレーというインド人居住区で、ホストもインド人。
3世代にわたる家族がここで暮らしている。
すぐさまインド料理でもてなしてくれた。
移民といえば移民かもしれないが、カナダにいる中国人やインド人は富裕層。
職を求めて流れ着いた貧しき移民とはまったく違う。
ホストのアルマジットは25年前にカナダに移住してきたそうだが、その立ち振る舞いや教養から察するに、上位カーストの出身に違いない。
キクチさんは初めての民泊で、ガチガチに緊張していた。
これはホスピタリティなので、日本人的な過度の低姿勢や遠慮はホストを困惑させる。
ホストはゲストにリラックスしてもらうことを望んでいるから、気楽に楽しむのが一番。
この日はもう夜遅く、疲れ切っていたので、軽い会話だけして、就寝。
翌日。
アルマジットに連れられて、車で外出。
彼は様々なビジネスを手がけている他、チャリティ活動もさかんにおこなっている。
この日はシュレッダーのチャリティで、僕とキクチさんもそのお手伝いをした。
キクチさんは、この旅で女性限定のサインをコレクションしていて、女性を見るたびにサインをねだる。
シュレッダーのチャリティとは一体何なのか、しばらく理解できなかったが、自宅やオフィスにシュレッダーがない人のために、シュレッダートラックをレンタルしてきて、人々が機密書類を持って集まり、いくらか寄付してもらう、というもの。
いくらか寄付といっても、さすが裕福なカナダ人たち、高額紙幣を惜しげもなく入れていく。
アルマジットは他にも様々なチャリティイベントをおこない、その寄付金を地域の子供スポーツクラブなどに当てている。
ランチはジャパニーズレストラン。
店員は韓国人だった。
中国人だけでなく、韓国人も日本人もここでは当たり前のようにたくさんいる。
その後、アマルジットが経営しているスポーツ用品店を訪れた。
彼はこの一帯のショッピングエリアのマネージャーでもある、相当な有力者だ。
キクチさんにそういったことを伝えると、その都度すごいリアクションをしていた。
このインド人地区は、インドのパンジャーブ出身の人が多く、アマルジットもその一人。
僕も2013年にパンジャーブを旅した。
パンジャーブといえば、シク教。
ここにはシク教寺院がたくさんある。
シク教寺院といえば、無料で食事ができる。
インド人スーパーで、たまたまローカルTV局が生放送していた。
アマルジットの人間好きを強く感じた。
どこに行っても彼のところに人が集まり、休む間もなく話をする。
サイクリストを家に泊めてインド人地区を案内したところで一銭の儲けにもならないが、彼は損得関係なく人と接してもてなすことを第一に考える人だ。
僕とキクチさんが泊まったのは、母屋とは別の小屋。
小屋といっても、トイレ・シャワーあり、Wi-Fiもあり。
ここでプリントTシャツをつくって店で売っているようだ。
カナダドル。
Everett, Washington, USA
28898km