2019年9月15日

シートゥスカイハイウェイ

カムループスの街はけっこうな鬼坂。
街を脱出するのに、距離はわずかでもえらい時間がかかる。
亀のような遅さで自転車を押し上げていると、散歩中の人が声をかけてきてしばらく立ち話したり、通りすがりの車が窓から手を振って「Good Luck Man!」と言ってくれたりする。
本当に人柄がいい。

坂の途中で街を一望。


地球上にはこんなにもたくさん人間がいたのかってぐらい、ビルや家が彼方までぎっしり。
なんというメトロポリス。



川の近くの低地にダウンタウンがあったが、坂の上にも巨大なショッピングエリアがある。


こんなに手広く栄えている街は初めてだ。
なんというメガロポリス。

カムループスからバンクーバーへは、交通量の多そうな低地のハイウェイではなく、海岸寄りの山道で行く。

森林から禿山に。


岸に沿って道をつくってくれたら楽なんだけどな。

線路は岸に沿ってつくられてる。


坂の途中で車が止まり、「乗ってく?」と聞かれたが、お断る。
でもありがとう、声をかけてくれるだけでも元気が出る。
そしてこっちの人は、声のかけ方もさわやか、笑顔で去っていった。

キャッシュクリークという小さな街。
キャンプ場はまたC$25(2042円)かと思ったら、C$20(1634円)。
安くなってホッとする。
ランドリーにコンセントがあるのを確認。
充電できてホッとする。

キャンプ場にしてもホテルにしても、高いところに限ってサービスが悪い、という世界の法則はたしかにある。

翌日は雨、連泊。
たいした雨ではなかったので走行してもよかったが、休む。
雨とキャンプ場の安さは連泊の口実となる。

日中の気温は20℃を切った。



カナダっぽくない風景。



家でシカ飼ってる?


柵もないし、野生が家の敷地に入り込んだのかな。


リルエット。


ここに来ていきなり、先住民が増えた。
先住民は主に北方に住んでるものと思ってた。
いや、おそらく元々は住みやすい土地に分布していたのだろうが、そういった土地はアングロサクソンが街を築き、ハイウェイを敷き、先住民は住みにくい峡谷や気候の厳しい北部に追いやられていったのではないか?
オーストラリアのアボリジニがそうだったから。
でも、世界各地に見られる支配層vs先住民の対立は北米では見られない、少なくとも表面化していない。
北米先住民は英語を母国語とし、宗教はキリスト教で、ほぼ同化しているが、経済格差はありそうだ。

WARMSHOWERS。
ホストは若いカップル。
街に着いて連絡したら、車で迎えに来てくれた。

バイクラックがあるから自転車を積むのも楽。


未舗装の急坂を登っていく。


山の上、またすごいところに住んでる。


庭で育てているルバーブというセロリのような茎と、同じくここで採れたチェリーを使ってスイーツをつくってくれた。


リルエットにあるミヤザキハウス。


宮崎政次郎という医者がここにいた。
彼は医者として住民から慕われ、議員も務め、その他幅広い活動で地域に貢献し、カナダ勲章も授与された。



リルエットから次の街ペンバートンまで100km。
山道であることはわかっていたが、想像以上にスティープ。
全然進まない。
山道のキツさは標高ではなく傾斜であるといういい例。

大都市バンクーバーまでもう少しなのに、この区間はまた無人地帯、街も店も家もまったくない。
この道は「Sea to Sky Highway」と呼ばれ、湾岸都市バンクーバーから発つと海から一気に空へと駆け上がる道。
こんなにキツくても、僕は低地のやかましいハイウェイより静かなこっちを選んでしまう。

1日でペンバートンまで行くつもりだったが到底ムリ、野宿にプラン変更。
食料は十分積んでいたが、水が足りない。
でも、いい水が山から流れてくる。




また、車が止まって「乗ってく?」と言われたが、お断る。
気持ちは本当にうれしい、ありがとう。



天気は完全に下り坂。
時々、弱い雨が降る。
さえない空模様がしばらく続く。



自転車事故で亡くなったのか。


標高1200mほどまで登って、そこから急な下り。


下りも急すぎると強いブレーキングが必要で、全然楽じゃない。

ペンバートンのキャンプ場はシャワーなしの州営のみで、最初に現れた私営キャンプ場はウィスラーというリゾート地。

Riverside Parkbridge Camping & RV Risort。
嫌な予感はしていて、もしかしてC$30とかするのかなと恐る恐る料金を聞くと、

C$45(3687円)!!!

は!?
ディナー&朝食付きとか?
テントじゃなくてキャビンに泊まれるとか?

いや、特別なサービスは一切ない。
ただのキャンプ場、むしろ平均的なキャンプ場よりサービス悪い。
ランドリーなし、雨天時用シェルター炊事場なし、ムダに敷地広くて移動が大変、そのくせテントサイトは狭くて地面は砂利、Wi-Fiテントに届かず、レセプションの女は機械的な説明をするだけで不親切。
これのどこがどう45ドルなのか?

史上最悪。
クソリゾートめ。

リゾートってやつは、リゾートという名前を付けるだけで料金を吊り上げる。
特に中身はない、メリットも満足感もない。
ウィスラーには他にキャンプ場はなく、ここに泊まる以外選択肢はなかった。

僕がこのブログで日本語でグチをぶちまけたところで何も変わりはしないが、もしこのルートで旅する人がいたら、ウィスラーという街には気をつけた方がいい。
地図を見ても、「ここはクソリゾートです」という注意書きはないから。

しかしこの後、キクチさんから届いたメールを見て僕は戦慄した。
「バンクーバーのキャンプ場はC$56(4552円)だよ」
・・・サノバビーッチ!

狂っとる。
世界一物価が高いと言われる北欧やスイスでも、ここまでバカ高いキャンプ場はなかった。
もう十分だ、早いとこカナダから脱出しよう。
さらにキクチさん情報によると、実はウィスラーにはホステルがあり、そこはキャンプ場より安いC$40(3256円)だとか。
事前に十分な情報収集をしなかった僕の敗北。

翌日から本格的な雨。


いつもなら余裕で走行断念するレベルの悪天候だが、リゾートで連泊なんてできるはずもなく、雨天走行。

北米先住民。


現在こんな服装している人はいない。

謎の言語。
Squamishという地名、英字スペルの中になぜか数字の7が含まれている。

WARMSHOWERS。
この日は一日中雨で、靴も浸水した。
ひとときも乾くことなく、何もかも濡れたままテントを張って寝るのは最悪。
こんな時に民泊させてもらえて本当に助かった。



若い夫婦の家で、会話もはずんだ。



翌日も雨、でも降りっぱなしではなかった。





Vancouver, BC, Canada

28720km