朝7時、まだ暗闇の中、カレーの港まで車で送ってもらった。
「カレー」という表記が多いが、現地の人の発音は「キャレー」だ。
フェリーでドーバー海峡を越えてイギリスへ。
入国審査が超厳しいと噂のイギリス。
原因は言うまでもなく、移民問題。
イギリスで不法滞在や不法労働をする日本人なんてまずいないと思うのだが、実際に入国審査で拒否されて追い返されてしまう旅人もいるようだ。
事前に考えられるあらゆる準備をして、万全の態勢でのぞんだ。
イギリスはシェンゲン圏外であり、カレーの港に両国のイミグレーションがある。
フランス出国もイギリス入国も済ませてから乗船する。
ローシーズンである上に夜明け前ということもあってか、まったく混雑しておらず、長時間待たされることはなかった。
もちろん僕以外の越境者は全員車。
フランスのイミグレーションでは、シェンゲン入域のスタンプを確認している様子はなかった。
しかもシェンゲン出国のスタンプをもらわなかったのだが、大丈夫なのだろうか?
いよいよイギリスのイミグレーション。
質問をたくさんされ、ひとつひとつ正直に明確に答えた。
何を聞かれたか全部は思い出せないが、どれもありきたりな質問だったと思う。
最後に残高証明書(英訳)を見せたら、難なくスタンプをもらえた。
意外にも、出国チケットの提示も求められず、宿泊予約の提示も求めれられず、荷物チェックもなかった。
僕はさらに旅程表まで作成していたのに。
無事クリアできてホッとしたが、どこからどう見ても自転車旅行者の僕が入国拒否される理由なんてひとつも考えられないから、当然といえば当然だ。
6ヶ月以内の滞在であればビザ不要。
チケットは事前に予約しており、£29(4021円)。
昼夜通して頻繁に運行しているし混む時期でもないから、予約してなかったとしても問題なかったと思う。
9時40分、乗船。
コンセントもWi-Fiもあり。
34km、1時間半の航海。
上陸!
1年を通して雨天が多いというイギリスで、上陸時に太陽が見れた。
緯度は高いがメキシコからの暖流の影響で暖かく、現在の東京とほぼ同じ気温。
すれ違う人は、イギリス人も外国人旅行者も、気さくに話しかけてくれて気持ちがいい。
もちろん頭の中で流れた曲はこれ。
ロックギターが生まれてから進化発展してきた歴史で、90年代にひとつの極みに達したエリック・ジョンソン。
テキサス生まれのアメリカ人なんだけど、なぜこのタイトルにしたのかは知らない。
この映像、音を消して指の動きだけを見ていても楽しめる。
左側通行。
自転車レーンはない。
街中ではたまに気まぐれで出現するがすぐに消滅する。
アップダウンも多い。
つまりふつうの国だ。
オランダ、ベルギー、デンマークが優秀すぎただけで、基準にしてはいけない。
なんか高速っぽい道に入ってしまった。
自転車はOKともNGとも書かれていない。
車の飛ばしっぷりからして、限りなく高速に近い。
でもGoogle MapsはGOとおっしゃる。
距離はマイル。
アメリカとともにイギリスも、いつまでもインチ、フィート、ヤード、マイルを使い続ける頑固者。
Google Mapsのルート検索でもイギリスはマイル表示されるから鬱陶しい。
植生が大陸と全然違う。
カンタベリーという街で、Kipps Backpackersに宿泊。
ドミトリー1泊£8.60(1193円)。
ファシリティはパーフェクト。
足りてないものは何ひとつない。
スタッフの対応も良い。
とてもホステルのベッドには見えない。
キッチンもちゃんとしてる。
整理整頓の鬼である僕と気が合いそうだ、ここの人とは。
この値段でこのクオリティはすごい。
ドイツ、オランダの安宿のあの惨状は何だったのだろう。
もちろん全体的な物価は高く、スーパーでの買い物は悩ましい。
でも店員の接客は愛想があっていい。
まだ入国初日だが、順調な滑り出し。
Canterbury, UK
13406km