ベルギー入国。
国境を越えると道のつくりが変わる。
最優秀のオランダを離れるのは名残り惜しかったが、ベルギーも自転車レーンは存続している。
やはりフラットな地形で自転車人口が多い。
オランダに比べて水のエリアがぐっと減り、キャンプできそうな森が増えた。
オランダは面積も人口も九州より一周り大きいが、ベルギーは面積も人口も九州より一周り小さい。
北部はオランダ語(6割)、南部はフランス語(4割)、東部はごく少数だがドイツ語。
ベルギーのオランダ語はフラマン語と呼ばれ、オランダのオランダ語とは発音がだいぶ違うらしい。
ベルギー語という言語はない。
地理的言語的にゲルマンとラテンの境界、中立的であるためか、首都ブリュッセルにはEU本部やNATO本部などが設置されている。
ベルギー、オランダ、デンマークはフラットな地形の小国で立憲君主制、そしてゲルマン、という点で共通している。
独自の言語を持たず小さな国土に複数の公用語、国際機関が設置されている、という点ではスイスと共通している。
ヘント。
「ヘント」というカタカナ表記が多いが、現地の人の発音は「ゲント」に近い気がする。
こういうカトリック的旧市街は久しぶり。
狭い路地をトラムが縫うように走り、ガタガタの石畳で自転車はダメージを食らう。
ベルギーは、カトリック圏とプロテスタント圏の境界でもあるのかな。
でも、都市部の若者で信仰心を強く持っている人は少ないようだ。
ヘントでは、タジキスタンで出会ったサイクリスト夫婦宅でお世話になった。
到着日は夫婦ともに不在だったが、隣人が鍵を開けてくれて、また無人の一軒家ですごすことになった。
やはりネコ。
好奇心旺盛でイタズラっ子。
セントラルヒーティングを導入しているのは東側諸国だけなのだろうか。
デンマーク以来、どこの家屋も、寒い。
暖炉やガスヒーターなどで、局所的に暖めるようだ。
ネコもヒーターのそばからなかなか離れない。
寒いだけなら対処の方法があるが、洗濯物が一向に乾かない時があるのが困る。
ここでは乾燥機を使わせてもらった。
もうなんか店みたいだけど、ここのお宅の作業場。
翌日、奥さんのヤンネだけ帰ってきた。
ヘントの街を案内してもらった。
言語というのは民族のアイデンティティにとって重要なファクターだ。
日本人として生きていくなら日本語を話す、フランス人として生きていくならフランス語を話す、というのが必須。
ではベルギー人とは何なのか。
固有の言語を持たず、多方向に対してオープンでニュートラルであるのがベルギー人だ、というのをヤンネと話していて感じた。
この日の夕飯、なんとポテトのみ。
おそるべしヨーロッパの食文化。
僕はポテト大サイズとコーラ、ヤンネはポテトノーマルサイズと水、以上。
そういえばアムステルダムで、行列ができている店があったので覗いてみたら、ポテトだけを売る店だった。
考えられん。
運河に沿って自転車道がつくられており、比較的シンプルで助かる。
ブルージュ。
海岸近くでキャンプ。
初めて、雨が降らない夜だった。
ベルリンで買ったテント、濡れっぱなしだったが初めて乾かすことができた。
フランス入国。
自転車レーン消滅。
たまに気まぐれで復活したり消滅したり。
車道も路面が荒れている。
フランスといえば、バゲットとフロマージュ。
これだけが楽しみ。
しかしよりによって、この日は日曜日。
ガッカリ。
ヨーロッパ人よ、働いてくれ。
と思ってたらパン屋は開いていた。
ただし営業は13時まで。
ギリギリセーフだった。
バゲット、€0.95。
前日の売れ残りかな、フレッシュではなかった。
WARMSHOWERSで民泊。
立派な一軒家。
なんというラグジュアリー。
まるで豪華ホテル、しかも部屋ごとにシャワーがある。
バスルームには専用スクイジーが。
当たり前だけど、皆フランス語を話す。
つい数日前までゲルマンの言葉だったのに、ちょっと自転車こいだだけでまったく異なる響きの言語、改めて戸惑う。
単一言語の島国で育った者にとっては、いまだに不思議な現象。
Calais, France
13377km