2019年11月4日

アリゾナ

朝。








やはりパンクしていた。
ポンプも壊れてしまった。
足で踏んで本体を安定させるパーツが折れてしまい、空気を入れられないわけではないが、やりづらくなった。

レインウェアのジッパーがおかしくなってきた。
雨天時でなくてもゴアテックスのレインウェアは防寒着として有効なので、日常的に着ている。
しばらく乾燥地帯だからいいが、雨が降ったらジッパーから浸水しそうだ。
どうも今回の旅は、ジッパートラブルが多い。

オルトリーブのバッグも所々壊れてきた。

同時期にいろんな物が壊れるシンクロニシティ現象は以前にも何度かあった。
今またその時期のようだ。


ここでタカシマさんと遭遇。

これからモニュメントバレーを見に行き、泊まらずに折り返して僕と同じ方向へ進むようだ。

アリゾナ州へ。

アリゾナ州、路面ボロボロ。





魔物が棲んでそう。 





こんな乾いた土地で、ナバホはどうやって生きのびてきたのだろう?

カイェンタという街。

ナバホの人々もフレンドリーで、よく話しかけてれたり、笑顔でアイコンタクトしてくれたりする。
でもひとり、話しかけてきたと思ったら「2ドルか3ドルくれ、腹が減ってるんだ」と言われた。
今回の北米旅行で物乞いされたのは初めて。
13年前はミシシッピやテキサスで、よく黒人から「クォーター(25セント)くれ」とたかられた。

ナバホ国は、街のつくりもアメリカと違う。
マクドナルドやバーガーキング等ファーストフード店があるのはアメリカ的だが、スーパーは見たことない独自のチェーン。
他に店はあまりなく、寂れている。

街中でも電波なし。
ネットが必要ならファーストフード店に近づいてWi-Fiを拾う。

一番困るのは、キャンプ場がないこと。
モーテルは軒並み$100超。
特に高級そうには見えない、ふつうの宿が異常なほど高額。

タカシマさんは、気温低下してからキャンプはせず、モーテル泊でつないでいるようだ。
この日はタカシマさんの御厚意で、カイェンタですでに予約していたというモーテルに転がり込ませてもらうこととなった。
タダというのも心苦しかったので半額以上は払うつもりだったが、受け取ろうとはしてくれなかった。

このモーテルは、朝食付きだった。
完全セルフサービスの食べ放題。
食器は紙製かプラスチック製で、すべてゴミとして捨てられるようになっていた。
一分の隙もない合理的システム。
パンケーキ製造機というものがあった。
ボタンを押すだけで、数十秒後にパンケーキが出てきた。

タカシマさんは北のページという街に向かい、僕は西のグランドキャニオンへ向かう。

もっとCELL TOWERSを! 

セルタワーというのは電波塔のこと。
僕もSIMを買っていなければこんなことどうでもいいのだが、月$50という法外な額を払わせておいてこんな使えない欠陥サービスは許せない。
アメリカにおねだりして電波塔ぐらいポンポン建ててもらえばよかろうに。

貴重な走行スペースに段差とガタガタ、ほんとやめてほしい。
 



またパンク。

相変わらず、道路脇には有刺鉄線がビッシリ。
でも時々未舗装のローカルロードが伸びており、そこから野宿地を探す。
広大な牧草地、はるか彼方にウシの群れが見える。
ここは果たして私有地なのか?
物色していたら、車が通りかかった。
ナバホの人で、この土地の所有者だろうか。
ちょっと気まずかったが、フレンドリーに話しかけてきた。
正直に「一晩キャンプできる場所を探してるんだ」と言ったら快く承諾してくれた。


アリゾナといったら暑いイメージしかなかったが、この日は日中最高気温が1℃。
夕方テントを張った時は-5℃。
夜は-10℃ぐらいだったろうか。
朝目覚めた時は寒さを感じたが、夜は問題なく熟睡できている。


少し進んで、トゥバシティという街で食料を買い足した。
シティというぐらいだから大きめの街だが、やはり電波なし。
もうなんだかアメリカは、電波がある場所よりない場所の方が多い気がしてきた。
今は2019年だというのに、こんなにも広範囲でモバイルなしで生活やビジネスが成り立つのだろうか。
アメリカとカナダは、世界一のIT後進国のようだ。





またパンク。
一瞬で空気が抜けるパンクもあれば、数時間かけて少しずつ空気が抜けていくスローパンクもある。
このスローパンクというのが、自転車トラブルの中でも特にイライラさせられる。
この日はスローパンクしているのをうすうす感じていたが、修理の手間と時間を省くため、数時間ごとにポンプでパンパンにして、しばらくもたせていた。
しかしもう限界か、となって渋々修理。
チューブを引っ張り出してチェックしたら、3ヶ所パンクしていた。
パッチがもったいないので、修理せずチューブ交換。
ついこないだ交換したばかりのチューブ、もうパッチまみれになっていた。

ナバホ国では、街に自転車屋がない。
ナバホ人は自転車に乗らない?
シュワルベは入手できなくても、せめてパンク修理キット、チューブ、ポンプぐらい置いてある店が欲しい。
自転車屋が現れるまで、今持っている物だけで対処しなければならない。



グランドキャニオンまで、長い登り。

コロラド川の支流であるリトルコロラド川が形成する峡谷に沿って登っていく。

ポツポツと点在するナバホの家。

相変わらず、道路脇には有刺鉄線がビッシリ。
時々ローカルロードが伸びているが、どうも私道っぽくてはいりづらい。

苦肉の策で、道路際だが道路からは死角となる丘の上にテントを張った。


眺めは抜群。


Page, Arizona, USA

32236km