オランダ入国。
オランダでの国名はネーデルラント。
英語ではNetherlandsと呼ぶのが一般的だが、Hollandでも通じる。
「オランダ人、オランダ語、オランダの」と言う場合はDutch。
ネーデルラントは「低い土地」という意味。
九州よりやや大きな国土で、その4分の1が海抜0m以下であり、常に水没の脅威にさらされてきた。
13世紀から干拓が行われ、堤防を築き、風車によって排水し、国土を拡大して作り上げてきた。
しかし干拓はさらなる地面の低下を招き、今もなお低下し続けている。
大航海時代、スペインやポルトガルに遅れをとって17~18世紀に海外進出し、植民支配と香辛料交易でやがて先発国を凌駕するようになった。
主な植民地はインドネシア、スリランカ(セイロン)、台湾、南アフリカ、ブラジルなど。
この時代にオランダはオーストラリア大陸、タスマニア、ニュージーランドを発見した。
タスマニアは発見者のタスマンにちなんで命名され、ニュージーランドも同じくタスマンに発見されたがオランダのゼーラント州にちなんで命名された。
アメリカのニューヨークも、イギリスが進出してくるまではオランダ領でニューアムステルダムと呼ばれていた。
日本では、江戸時代の鎖国下で唯一オランダとは交易を保ち、杉田玄白の「蘭学事始」や「解体新書」などによってオランダの学問がもたらされた。
「おてんば」、「ポン酢」、「八重洲」、「ヨードチンキ」、「ランドセル」、「リュックサック」といった言葉はオランダ語が由来となっている。
フローニンゲンという街で、またWARMSHOWERSで民泊。
街の中心地で若い男性一人暮らしの部屋。
ヨーロッパでは国境を越えても劇的な変化を感じることはないが、オランダに入国してその自転車大国っぷりに驚かされた。
もちろん話には聞いていたが、実際に目の当たりにすると、ものすごい自転車の数。
オランダでは、一人当たりの自転車保有率が1.1台で世界一、つまり人間より自転車の方が多い。
特にここフローニンゲンは大学生の街で、自転車レーンには自転車に乗った若者が絶え間なく流れ続ける。
スクーター大国ベトナムに匹敵するほど、見ていて面白い。
そして興味深いことに、誰もヘルメットをかぶっていない。
法律で定められておらず、必要だとも思われていないようだ。
多くの自転車はオランダ国産で、形状もユニーク。
ステムが長いのでハンドルが高く、前傾姿勢ではなく直立姿勢で走行している。
写真は撮っていない。
街に到着するのは日没後、翌朝出発するのは日の出前なので、暗くてうまく撮れない。
今までと同様、幹線道路は高速化されており、自転車道を模索しながらの走行。
自転車道の整備率はきわめて高く、縁石や段差で衝撃を食らうことも少ない。
しかし、道は複雑でまっすぐ続くことがなく、平均して10分ごとぐらいに立ち止まってマップチェックしなければならない。
GPSがある時代で良かったとは思うが、これではバッテリーがみるみる減っていく。
運河、用水路、池、堀が張りめぐらされており、どこもかしこも水。
こういう風車は現在は稼働していない。
美しい田園風景。
でもとにかく天気が悪いのであまり写真を撮る気になれない。
右から歩道、自転車道、路駐、車道。
物価はドイツより高い。
デンマークよりは安いが、スーパーでの買い物は慎重になる。
マックのビッグマックセットは€8.50。
面積も人口も、だいたい九州と同じぐらいのイメージ。
こう見えて人口密度は高い。
キャンプは難しい。
森が一気に減少し、ほとんどが農場。
森はあったとしても柵があったり堀で囲まれていたりして、簡単に侵入できないようになっていることが多い。
なので連日、WARMSHOWERSで民泊。
どの国よりもサイクリングに理解の深いオランダには無数のホストがいるが、それでも承諾率より拒否率の方が高いので(でも無視率は低い)、やはり多めにリクエストメッセージを送る。
ホストのお宅は、とんでもない田舎、田園地帯にポツンとある一軒家だったりもする。
住所をGoogle Mapsに入力してもヒットしない場合はたどり着くのに苦労する。
日没後、暗闇の雨の中を走り続け、本当に見つけ出せるのかと不安になるが、タダで泊めてもらうのだからここは頑張らなければならない。
アフシュライトダイクという全長32kmにおよぶ世界最大の海上堤防がある。
北海の海水を堰き止め、この堤防より南側は淡水化されて湖となっている。
車道は高速だが自転車道もあり、海岸線を進むならこの上を通ればショートカットできる。
予報を見たのでわかっていたが、強い向かい風と雨。
条件が良ければ気持いいんだろうな。
変化のないフラットな直線で向かい風&雨、というのはただの苦行。
右側が北海、左側がエイセル湖。
またまたWARMSHOWERSで民泊。
どこのお宅へ行っても、「この季節にゲストを迎えるのは初めてだ」、それから「短パンで寒くないのか」と必ず言われる。
一軒家でお世話になる時は、だいたい食事をつくってくれる。
今のところ、全家庭がベジタリアンで、肉料理がメインということはまずない。
野菜を煮たり炒めたりしたものと、スープなど。
もちろんありがたくいただくが、このメニューでどうしてあんな大柄な身体に育つのか、不思議。
ともあれ、本当に助けられている、ありがたい。
オランダも山のないフラットな国土だが、入国してからずっと向かい風で、ひたすら登り続けているような感じ。
無料のフェリーで川を渡り、首都アムステルダムへ。
オランダでは、田舎でも街中でも、よく話しかけられる。
気さくでオープンな国民性が伝わってくる。
Amsterdam, Netherlands