2019年12月12日

エンセナーダ

ティフアナで4泊お世話になった、ホストのミゲル。

太平洋側に南北に細長くのびるバハカリフォルニア半島を南下していく。
わずらわしいマイルの計算から解放され、この先の国はすべてメートル法。

ティフアナを抜ける唯一の道路は自転車禁止。


13年前も、メキシコのハイウェイには自転車歩行者禁止の標識がありながら、地元民はサイクリングしたりジョギングしていたりしていたのをよくおぼえているし、今回もこのハイウェイを自転車走行しても問題ないということをたくさんの人から聞いて確認していた。



地中海と同じ色彩。

少し走って最初に現れた街も、ウォルマートあり、マクドナルドあり、バーガーキングあり、よく発展している。

メキシコ合衆国。
面積は日本の5.2倍。
人口は1億2863万人。
メスティソ(スペイン人と先住民の混血)60%、先住民30%、白人9%。
キリスト教カトリック82%、プロテスタント9%。
世界で最もスペイン語話者の多い国。

BC2000年頃から農耕文化が根付き、メキシコ湾側にオルメカ文明(BC13~1世紀)、中央高原にテオティワカン文明(1~7世紀)、ユカタン半島にマヤ文明(3~16世紀)、中央高原にアステカ帝国(15~16世紀)など、高度な文明が勃興した。
地理的に孤立しておりヨーロッパやアジアの文明の影響を受けず、ピラミッドや天文学などを高度に発展させておきながら製鉄や車輪はなかった、という独特の文明が築かれた。

1492年コロンブスのアメリカ大陸発見を皮切りに大航海時代が始まり、スペインやポルトガルがアメリカ大陸に上陸して植民支配していった。
1521年にアステカが滅ぼされ、以後スペインによる支配が300年続いた。
この間にスペイン語とカトリック文化が普及され、麻疹や天然痘が持ち込まれて免疫のない先住民は次々に死んで人口が激減し、銀山が採掘されて銀が海外へと流出していった。

やがてスペインの国力が衰退し、1821年にメキシコとして独立。
1846~48年に領土拡大を狙うアメリカと戦争になり、敗戦したメキシコはテキサス、カリフォルニア、アリゾナ、ニューメキシコなど、当時の領土の3分の1を失った。

中南米はスペイン・ポルトガルというラテン系の文化が浸透されたことでラテンアメリカと呼ばれ、北米のアングロサクソン圏とは著しく異なる文化圏が形成された。
アメリカ、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドなどはアングロサクソンが先住民を駆逐し移民を導入しながら支配層となって国を築き、強い国力と高い生活水準を持続させている。
本国の大英帝国は衰退したが、同民族アングロサクソンによる北米やオセアニアの成功を見ると、ステージを変えた大英帝国の再来のようにも思える。
対してラテンアメリカは、宗主国が早い時期に衰退し、混血が進んだ状態で独立したためか、経済的な発展はだいぶ遅れをとることとなった。

現在のメキシコのGDPは世界15位。
アフリカに比べたら、ラテンアメリカには強い国力を感じる。
アフリカ旅の時にも感じたことだが、弱小国というのはどの国に植民支配されたかによってその後の運命を大きく変えられる。
以前は独自の言語と宗教があり、それらが人々のアイデンティティとなっていたはずだ(完全に消滅したわけではなく現存しているものもある)。
メキシコが独立して200年になるが、この先の未来もかれらはスペイン語を話し続け、キリスト教を信仰し続けるのかと思うと、植民支配によって喪失したものの重大さを痛感する。





海岸からそれてしばし内陸へ。

ここが登り坂でなかったら見逃していたかもしれない、不意に目に入ってきた日本語。



サイクリスト・・・

調べてみると、サイトによって微妙に異なるので正確なところはわからないが、異例の寒波で路面が凍結し、トラックの風圧で転倒、その際に頭を打ち、しばらくした後で意識を失い、ここで凍死したという。



ご遺族とJACC(Japan Adventure Cyclist Club)の尽力でここに墓碑が建てられたようだ。
現在も足を運ばれているのだろう、27年が経過したとは思えないほどきれいに保たれている。


何が起こるかわからない、いつどこでどのように死ぬのか、こればっかりはどうしたってわからない。
自己防衛できる範囲を超えた死の可能性、いつも僕はそれを考えているし、すべての人間はいずれ死ぬ、それはとてつもなく怖い。
旅をしていても日本にいてもそれは同じこと、生きるということには安全の保証も何の確証もない。
僕は旅を続けずにいられない。

エンセナーダに到着、Deluxe Hostal GGGにチェックイン。
宿は小ぎれいなシングルルーム、339ペソ(1925円)。
完全セルフサービスの無人宿。
オンラインで予約するとメールが来て、建物の電子錠暗証番号、部屋番号、部屋の電子錠暗証番号が書かれている。
メールの長い説明文はスペイン語オンリーでとても読めないが、暗証番号だけ理解できればいい。
冷蔵庫、電子レンジあり。
Wi-Fiは良好。
トイレ、シャワーは共用。
水道水はだいぶ塩分濃度が高い。

ベッドメイクがなんか雑。

エンセナーダにはホステルもあるが、ドミトリーでもこの宿と同額なのでこっちの方がお得。

宿のベランダからの眺め。


立地は街のど真ん中。
もうここは北米ではない。
コンビニもスーパーも、何もかも徒歩圏。
買い物や食事に行くのに自転車に乗る必要はない。


宿も豊富にある。
街を歩いていると、250~260ペソ(1419~1476円)という看板がよく目につく。


この先はBooking.com上に現れる最安宿よりも、現地で探す方が安く上がりそうだ。
しかしホステルよりホテルの方が安いなんて、客は安い方に流れていくのではないか。
でも外国人旅行者は予約サイトに現れない安宿があることを知らずに予約してから街に来る。
今回の僕もまんまとそのトリックに引っかかったということか。





ここは観光地のようで、白人旅行者が多い。
メインストリートはギフトショップが並び、客引きによく声をかけられる。
物乞いもいる。


街中は信号がほとんどないが、交差点では車はしっかり止まって歩行者を優先してくれる。
メキシコは本当にお利口さんになったようだ。





チキンが安い。
690gで20.63ペソ(117円)。

ケーキも、なんか雑だけどこのサイズで1個19ペソ(107円)なら買っちゃう。


Ensenada, Mexico

34294km