2019年7月21日

アラスカハイウェイ 3

正確にはアラスカハイウェイからちょっと逸れて寄り道。

エメラルド湖。

走行中、日本人サイクリストと出会った。
大阪西成のジローさんという人で、バンクーバーから北上している。
お互い、北米で日本人と出会うのは初めて。
僕はセネガルの日本人宿以来か。

ジローさんは大阪人魂の塊のような人で、会った瞬間から怒涛の如くしゃべり続ける。
年齢は50歳だが少年のように楽しそうにケラケラ笑い、話もおもしろい。


20kmほど一緒に走り、州営キャンプ場でストップ。
到着したのは15時ぐらいだったかな、それから深夜までずっと話しこんだ。

話を聞いた感じ、ジローさんは英語はほとんどできないようだが、カナダ人と話す時も大阪人特有のハイテンションなノリで、
「せやろー!」
「せやなー!」
「ほなまたー!」
といった感じで、僕なんかよりずっと上手に人付き合いしているように思える。
現地人や旅行者にとっても、およそ日本人のイメージからかけ離れたこの大阪人のソウルは、ウケがいいに違いない。


そのガンガン攻めていく外交的な性格とは裏腹に、ジローさんは植物や鳥類が大好きな生き物博士。
写真も雑草ばかり撮っている。
時々図書館に行って、図鑑を模写して自分なりの図鑑を作成しているという、まあ変わった人だ。
その辺の雑草についていろいろ説明してくれるのだが、僕にはよくわからん。

ただ、そこらじゅうに生えているこのファイヤーウィード(ヤナギラン)が食べられるということを教えてもらったのはよかった。



さっそく晩飯に投入してみた。

味は、特にクセはない。
物価高で最低限の食材しか買えないここでの粗食に緑を添えられるだけでもいい。

とにかくよくしゃべるジローさん。
ひとりでいる時もずっとひとりでしゃべり続けるらしい。

「リョウさん、おれの話に疲れたら遠慮なく言ってくれや! おれは鍋としゃべるから!」


翌日、それぞれ別の方向へ。
ジローさんはスマホやパソコンなど通信機器を一切持っていない。
日本にいる時も携帯を持っておらず、メールアドレスすらないという。
今後一切連絡がとれないが、「西成に来ることがあったらいつでも遊びにおいでや」と住所を書いてくれた。

カークロスという小さな街のキャンプ場、C$20(1655円)。

田舎街のキャンプ場では、RVサイトとテントサイトの区別がないところがある。
ここではテント泊でも水道と電源がとれる。

Wi-Fiもバッチリ。
つまりテントの中にいながら、バッテリーを気にすることなくネットやり放題。
この条件がそろったキャンプ場はここが初めて。

ホワイトホースでのんびりできなかった分、ここで2泊した。
ただ、日陰がないので日中は暑い。
ロビーのような逃げ場もない。

このキャンプ場のミニスーパーは、小さいながらも食料がそこそこあり、比較的安い。

ヨーロッパでは€1で毎日のように買っていたチョコチップクッキー、ここではC$4.99(413円)。

北米ではここで初めて買った。
ボリュームは1.5倍ぐらいある。

北米でチョコチップクッキーといったら、こういうホームメイドの方がポピュラー。


グニャッとした柔らかい食感のものが多い。
僕はもちろん大好きだが、平気で1枚C$3~4(248~330円)ぐらいする。

バナナは1本C$1(82円)。
見た目は良かったが食べてみるとハリがなく、パサパサしていてマズかった。
そういや、アラスカのトークでおいしそうなネクタリンがあったので奮発して買ってみたら、吐き捨てたくなるほどマズかった。
アラスカやカナダでフルーツを買っても金をムダにするだけだ。



アラスカハイウェイに戻る。
フラットは終わり、アップダウンの連続が始まった。

一時期の暑さはだいぶやわらいだ。
ここ最近は日中20℃前後。
雨はしばらく降っておらず、安定している。

日も短くなった。
日の出は5時、日没は23時。
夜はそこそこ暗い。

オオカミと遭遇!


イヌとオオカミの違いは、外見よりも生態の違いの方が大きいのかもしれない。
外見の違いを言葉で説明するのは難しそうだ。
それでも一目見てオオカミだと思わせたのは、決して飼い馴らすことのできない野生の狩猟動物ならではの眼光と佇まいだろうか。


ただ、オオカミは通常群れで行動する。
こいつは一匹狼?


地元民でもめったに見ることがないというオオカミ。
初めての遭遇でバチッと目が合ったのはうれしかった。
そしてやっぱり、自転車に乗りながら野生動物と遭遇するのはこの上なくゾクゾクする。



ブラックベアやムースを目撃するのもめずらしくないが、写真が全然撮れない。







先住民から水もらった。

北米先住民のイヌイットについてはまだ触れていなかった。
先住民とはいっても、ふつうの服を来てふつうに英語を話す。
モンゴロイドで、我々と似た顔つき。
ユーコンでは人口の4分の1を占める。
ここでは「First Nations」という呼称が正式のようだ。

レクリエーションサイトで1泊、無料。


Continental Divideで1泊、C$10(824円)。

売店で、翌日分の食料も含めて、マフィンやクッキーなどを数点購入。

これでなんと計C$28(2309円)。
キャンプ代が安いのでその分少し多めに買ったら、こんなとんでもない額に。
売り場には値段が書かれていないので、それぞれいくらなのかは不明。
レジに持っていく時はバクチ気分。
これじゃ生きていけませんわ。

ただ、北米ではパン類(パイやケーキやクッキーなどもひっくるめて)は総じておいしい。
ホームメイドはもちろん、スーパーで売っているものも、全体的にハズレなくおいしい。
パン類に関しては日本より北米の方がレベル高い、あとコーヒーも。



地図上には書かれていても、営業していないサービスエリアもある。
Swift RiverやRancheriaは現在閉業中。

採掘場で野宿。


Watson Lake, Yukon, Canada

25020km