セウタの港から5kmほどでモロッコとの国境。
国境付近で両替屋が声をかけてきたが、無視。
スペイン出国は、パスポートをろくに見もせずにスタンプが押された。
・・・シェンゲンルールとは何だったのか。
仮にオーバーステイしていたとしても、何のお咎めもなしで出国できたことになる。
まじめに3ヶ月の滞在期限を気にしながら旅を進めてきたのがバカらしくなった。
でも出国場所によってはきっちりチェックされるらしいことは旅人たちから聞いている。
ちなみに、2021年以降ヨーロッパシェンゲン協定国へ渡航するには、ETIASと呼ばれる認証システムに登録しなければならない。
つまり、現在のアメリカ、カナダ、オーストラリアなどと同様、ビザは不要でも事前に電子登録する必要があり、パスポートだけでは渡航できなくなる。
モロッコ入国もゆるいもんだろうと思っていたが、意外に時間がかかった。
自転車は車ルートなのか歩行者ルートなのかはっきりわからなかったが、車ルートで行ってみた。
待機している車は多くはなかったが、一台一台にやけに時間がかかっていた。
その間に入国カードを配られたので、記入。
もういいかげん古臭くないかな、このアナログな入国カードって。
配布した人がていねいに教えてくれた。
別に教えてもらわなくてもよかったけどお礼を言ったら、
「チップくれよ。」
「イヤだ。」
僕の番が来て、仕事のこととか、滞在予定のホテル名などを聞かれた。
時間がかかったとはいってもそこまで長時間ではない、国境越えはちょっと待たされるだけでも長く感じてしまうものだ。
係員はフレンドリーで、「Welcome to Morocco!」とスタンプを押してくれた。
90日以内の滞在ならビザ不要。
国土は日本の1.1倍。
人口は3365万人。
公用語はアラビア語とベルベル語。
フランス語とスペイン語の通用度も高い。
先史よりベルベル人が居住し、BC3世紀にマウレタニア王国が築かれ、BC2世紀からローマ帝国の支配下となり、8世紀からイスラム帝国の拡張によってイスラム化した。
イスラム帝国の支配下であったポルトガルとスペインがレコンキスタを完遂して独立すると、今度はモロッコがポルトガルとスペインの脅威にさらされた。
北部はスペイン領、その他は1912年よりフランス領となった。
1956年モロッコ王国として独立。
最初に現れた街にATMあり。
想像していたほどの経済的落差は感じない。
同じアラブ世界でも、エジプトやスーダンとはまるで違う。
ドライブマナーはそんなに荒くない。
クラクションもそれほど鳴らない。
横断歩道では車は止まってくれる。
道路も優秀。
ここはニイハオ文化のようだ。
すれ違う人が「ニイハオ、ニイハオ」とうるさい。
車もわざわざ減速して「ニイハオ!」。
多くの国ではこのニイハオ攻撃は明らかに小馬鹿にしたニュアンスがあるが、モロッコでは今のところ好意的なあいさつとして聞こえる。
悪意がない方が対処に困る。
標識はアラビア語とフランス語。
「イスラム感」は決して薄くはないが、かといって厳格でもない。
開放的で、不自由さは感じない。
壁で囲まれた旧市街。
旧市街はメディナと呼ばれる。
Google Mapsには入り組んだ路地は表示されない。
GPSを頼りに迷路を進む。
我ながらよく迷わずにたどり着いたな、と思うような立地の宿。
ドミトリー1泊€8。
Booking.comでの料金はユーロで表示され、引き落とされた。
受付は若い女性で、英語を話せる。
過去に旅したイスラム圏の多くの国では、ホテルでも店でも接客は男性がするものなので、女性と接触する機会は少なかった。
ここの女性はとても感じよく、笑顔を見せてくれる。
宿は広くはないが、各ベッドにコンセントあり、Wi-Fiもまとも、キッチンあり、ロッカーあり。
トイレは洋式。
カメラを持って歩いていると、尾けてくる者がいる。
「ニイハオ! This is a market place.」
無視してもしつこく、
「You speak English? This is a market place.」
「・・・見りゃわかるよ。」
今どき誰でもスマホを持っててロケーションも情報もわかるんだから、道案内詐欺も時代に適応して手口を変えた方がいいでしょう。
Maroc TelecomでSIMを購入。
ここでも若い女性が英語で対応してくれた。
20ディルハム(234円)。
この時点では0GB、街の売店でチャージしなければならない。
しかし売店に行くと、「アクティベートされてないからチャージできないよ。」と言う。
テレコムに戻ってさっきのお姉さんをつかまえると、「30分後にチャージできるわよ。」と言う。
最初に言えや。
SIM購入からネット接続までの手順は、国によって店によってまちまち。
たいていは店でアクティベートしてくれてすぐ使えるようになるが、30分後に使えるようになるとか、アクティベートもせずカードを挿入してすぐ使える場合もある。
いずれにしても、最初ぐらいひとつの店で済ませろよと思う。
1時間後にまた売店に戻ってみたら、「同じだ、何もできない。」と。
売店のおじさんは英語を話せないようで、それ以上相手にしてくれなかった。
なのでまたテレコムに戻ったら、なんと閉店していた。
まだ17時だよ。
旅においては、たらい回しにされて結局何もできないという悔しい経験をよくする。
テトゥアンには1泊の予定なので、ここはあきらめて次の街でなんとかするしかない。
それにテレコムのあのお姉さんにこれ以上何を言っても解決してくれそうな気がしなかった。
プロ意識も責任感も皆無。
それから、モロッコは時間がおかしい。
国際的にはGMT+1だが、2018年に冬時間を廃止したせいなのか、現地ではGMT+0がまかり通っている。
ネット上の時間と通信機器の時間に誤差が出るのでややこしい。
Chefchouen, Morocco