全長155kmにおよんだベルリンの壁はほとんど壊されたが、ここイーストサイドギャラリーと呼ばれる1.3kmの残壁には、世界中のアーティストによって絵が描かれ、文化財として保存されている。
もともと落書き大好きなヨーロッパ人、こうなるのは必然。
首都ベルリンは東ドイツにあり、ベルリン市内も東西に分断されてその西部は西ドイツの飛び地となった。
1949年に東西分断されて以降、東ドイツは社会主義によって経済が停滞し、358万人もの東ドイツ人が西ドイツに逃げ込んだという。
東ベルリンから西ベルリンに逃げ込むことさえできれば、西ベルリンから空路またはアウトバーン(途中下車不可)で西ドイツ本土まで行くことができた。
その人口流出を防ぐために築かれたのが、この壁。
最初は鉄条網だけだったが警備強化され、壁だけでなく地雷や番犬、サーチライトなど幾重もの障害を設け、それでも越えようとした239人が殺された。
外敵の侵入を防ぐための壁ではなく、自国民を外へ逃さないための壁なんて他にあっただろうか。
最も有名な絵、人だかりができて写真を撮るのが大変。
この絵は、1979年東ドイツ建国記念式典の際、東ドイツ首相ホーネッカーと、ソ連最高指導者ブレジネフが交わしたキスの写真を模写したもの。
東ドイツが、ソ連の言うことなら何でも聞く忠実な属国であったことを示している。
壁の向こうに描かれた遠い日本。
西ベルリンはアメリカ地区、イギリス地区、フランス地区に分けられていた。
この絵の作者は何度も日本を訪れていて、もし壁の向こうに日本地区があったらという思いをこめたらしい。
絵にこめられたメッセージを読み取ろうとしたり歴史を感じ取ろうとしても、アンケート用紙のようなものを持った移民がひっきりなしに声をかけてくる。
ベルリンに突入したとたん、一気に多人種になった。
アフリカ系、中東系、トルコ系、などなど。
と同時に荒くれドライバーも現れるようになった。
決めつけるのは良くないが、まあそういうことなんだろうな。
西側は、アートではなくただの落書き。
ベルリンの中心に位置するブランデンブルク門。
門は東側にあり、そのすぐそばを壁が横切っていた。
東側から。
西側から。
1963年にアメリカのケネディ大統領がここで演説し、「Ich bin ein Berliner(私はベルリン市民である)ということは最も栄誉あることだ。」という有名な句を残してベルリン市民の心を揺さぶり、冷戦末期の1987年にはレーガン大統領もここでゴルバチョフに向けて壁を壊すよう呼びかけた。
ここにもわずかに残された壁。
よりリアルに残った壁。
SAVE OUR PLANET。
壁も落書きも、放っとけば朽ちていく。
イーストサイドギャラリーは上塗りされメンテナンスされ、あまりにきれいすぎた。
こういう野ざらしにされたものの方がダイレクトに伝わってくるものがある。
チェックポイント・チャーリー。
アメリカ統治地区との国境検問所。
外交官など一部の者だけが通過を許可されたが、その車の中に隠れて西へ逃げ込む者もいた。
現在は観光向けの見せ物になっている。
そもそもの社会主義(共産主義)の思想をつくった張本人がこんなところでひっそりと。
カール・マルクス(1818~1883)は、ドイツ(当時はプロイセン)生まれのユダヤ人。
レーニンもスターリンも毛沢東もポル・ポトも、元をたどれば全部この人に行き着く。
思想としては間違った方向に導いてしまったかもしれないが(何千万人死んだことか!)、マルクスの思考法は現代においても学ぶ価値があり、その影響力は計り知れない。
今さらだが、ヨーロッパ都市部での昼飯の定番はケバブ。
ドネルケバブ(大)、€4。
このボリュームでこの価格なら、買う価値あり。
しかもすげーウマイ!
日本では今ひとつ浸透しないケバブだが、ヨーロッパの都市ではそこらにある一般的なファーストフード。
意外に物価は高くない。
スーパーの品はけっこう安く、東欧ではすごく高かった米が、ここでは500gで€0.5。
年をとるごとに、米を断つのが耐え難くなってきている気がする。
宿で連泊する時は、必ずといっていいほど米を炊くようになった。
米は水加減と火加減が難しいが、もう慣れたもんで、ほぼ失敗することなく上手く炊ける。
牛乳は1Lで€0.6。
物価が安いのは人件費の安い移民のおかげだろうか。
おうち購入。
€70の品が€50で売られていた。
床面積250×155cm、耐水圧2000mm、重量2kg。
いいアウトドアショップを見つけて、しばらく見てるだけでも楽しかった。
Sunflower Hostelに滞在。
ドミトリー1泊€10。
部屋数が多く、旅行者もいれば労働者もいる。
皆マナーは良い。
日本人は見かけなかった。
全体的に客は少なく、すごしやすい。
ドイツ人はやはり礼儀正しく、サービスも行き届いていて、いろいろしっかりしている。
この辺が、水道水が問題なく飲めて、トイレにトイレットペーパーを流せる国の境界だろうか。
ポーランドやチェコやスロバキアも概ねちゃんとしていたが、建物によっては怪しかった。
これより東のユーラシア大陸ほぼ全域で、トイレに紙は流せない。
ゴミ箱が備え付けられているので、そこに捨てる。
アフリカ大陸全域、中南米全域も同様。
明日からまた天気が崩れるらしい。
Berlin, Germany