山はさらに険しく。
時々、店が現れる。
ん?
イヌがついてくる。
君は僕を守ってくれるのか、それとも守ってほしいのか。
僕は彼を「ラグマン」と名付けた。
何度か「ラグマン!」と呼んでやると、反応するようになった。
お?
新たなイヌが出現。
こいつもついてくるのか?
イヌには縄張りがある。
ラグマンは威嚇して吠え、しばらく睨み合った後、もう1匹は去っていった。
いよいよ峠。
標高は2700mとたいしたことないが、長さ5kmのトンネルがある。
過去最長だと、ノルウェーで6870mのトンネルがあったが、先進国ノルウェーのトンネルは排気設備がちゃんとしていた。
ここは違う、マスクをして挑む。
イラン製なのか。
サイクリストにとってトンネルは恐怖。
ここは、広くはないが車2台と僕が行き違えるぐらいの幅員はあり、照明も一応あり、交通量もそこまで多くはない。
問題は排気ガスのみ。
殺人的な排気ガスで、また寿命が縮んだ。
ふと振り返ると、ラグマンがいなくなっていた。
うん、こんなところ来ない方がいい。
さよなら、ラグマン。
ラダックのチャパティは今頃どうしてるかな。
トンネルを抜けると、
何この色?
花!
こんなところでも農業。
その後も短いトンネルがたくさん現れるが、崖っぷちの側道を通ればトンネルを避けることができる。
電線が景観を損ねてしまっているが、しゃあないか。
ひたすら下る。
こんな雪渓で一体何を?
次は中国製?
これは長さ1kmだった。
その後も多数のトンネルがあったが、入口からすでに出口の光が見えるほどの短いものばかりだった。
峠から首都ドゥシャンベまで約80km、オール下り。
中流からはリバーサイド・リゾートが続いていて、旅人には近寄りがたく写真も撮らずにサクッと下った。
Dushanbe, Tajikistan